物理
今読んでいる工学系の本、納得いかないカ所ある。ガスの音響的な性質を論じた教科書である。音波は粗密波であり、その過程は通常断熱的だと考えられる。しかし実際には分子には並進自由度に加えて回転や振動といった内部自由度とのcouplingがあり、散逸が生…
連休中、ちょくちょく昔の演習プリントを引っ張り出してきて物理の計算をしていました。これがすごい楽しい。アンテナからの放射を求める計算をやりました。このプリントの良いところは数学がしっかりしているところです。今回で言えば指数積分とか不完全ガ…
ウィーン工科大学の長谷川さんのグループによる,「小澤の不等式」の実証実験が一般紙上をにぎわせている.ヒッグス粒子が見つかった!みたいなニュースに比べれば,小澤の不等式というのは花に欠けるというか,それほどインパクトを与えるものだと思ってい…
Newton方程式などのlocalな運動方程式が,最小作用の原理というglobalな原理から導出されるのはなぜだろう? ある量子系(例えば井戸型ポテンシャルや平面派)におけるエネルギー固有状態に対して,時間に依存する階段関数型のポテンシャルV(t)=Vθ(t)が加わ…
local charge conservationがゲージ不変性と同等であることを示す.以下の議論の大体のところはSchrieffer "SUPER CONDUCTIVITY"による.ある点における連続の式: を考える.ここではそれぞれ演算子である.これをフーリエ形式で書けば . これは(-1,1,1,1)…
空気は温めると対流するという経験事実がある。たき火を焚けば煙は上へ昇る。これにはよく「暖かい空気は軽いから上に行く」みたいな説明がついてる。確かに一定圧力中の気体は温度とともに密度が減少する。 比重が小さいものがより比重の大きいものの中で上…
あいかわらず、研究がよくわからない状況にあります。 線形応答理論と言えば久保公式ですが、この久保公式な成り立ちを振り返ると、暗黙の裡に先進グリーン関数同士の積や遅延グリーン関数同士の積を取り除く操作をしているわけですね。この操作は通常ゲージ…
ふらっとインダクタンスの作り方: アナログエンジニアを読んでいてヒステリシス損失という言葉にぶつかった。聞いたことがあるような気がして、wikipediaで調べてみると鉄損という項のサブ項目にあった。 鉄損 - Wikipedia 磁場Hと磁束密度Bの関係を示したの…
国際会議でポスター発表してきた。前に一度同じ内容で発表をしたので、準備に甘えがあった。反省点がたくさんある。 ポスター 内容が不十分(論外) ストーリーを感じられない(致命的) 英語が(笑) 研究内容 結果が自明だ 考察が浅い 動機が不明瞭 そもそ…
twitterで物理の博士過程にいる方と話をしてたときに、ちょっとした疑問をぶつけてみました。完全に解決とはいきませんでしたが自分なりに整理ができたのでまとめておくことにする。 アハラノフ-ボーム効果というのが議論のテーマ。量子力学の根幹にかかわる…
前の記事をちょっと掘り下げる。フェルミ推定というのは「手元にある限られた情報を使ったざっくりしたオーダー評価」のことらしい。フェルミが学生に出題したという「シカゴにピアノの調律士は何人いるか」という問題が元ネタ*1。物理量の桁だけ考えるのは…
3月という就活で大切な時期に、アメリカでの学会発表のために1週間ほど消えることに決めていて、オーラル発表を希望していたのですが却下のメールが本日届きました。(そんなことあるのか・・・ガクッ)なので結局ポスター発表をします。却下は内容がショボかっ…
冬休みは論文を書いて過ごします。卒業研究から起算して1年間ほど同じようなテーマをやってきましたが、論文を書いて一区切りつけたいと言ったところ、Goサインがでました。率直に言って自分がやった計算なんて誰でもできるものだと思っていたので、論文にな…
I work as a Teaching Assistant at my university and have an excersise class of elementary electromagnetism. To my surprise, I sometimes come to physical problems which I've never thought before while very simple. For example, suppose a cha…
誘電体の物理を扱う上でベリー位相が必要になりましたが、このベリー位相を説明しようとすると結構大変な事に気づきました。なので、誘電分極の話は一時休憩して、しばらくベリー位相の話でも書いていきたいと思います。基本的には今回からの話は、 http://p…
前回の記事で登場したBerry曲率というのを説明します。踏み込むと結構大変だと思うので、なるべく簡潔に説明を行うつもりです。 この話をするために、まず量子力学の主人公である波動関数について復習してみたいと思います。波動関数は一般に複素数値をとる…
牟田先生の電磁力学が絶版になっているようだ [asin:4000067524:detail] OMG!(・Д・)
三つ目の分極の定義を与えます.これが現在主流になっている分極の考え方になっているのですが,そのベースは電磁気学の基本的な式 です.右辺は分極電荷を表しています.この式は電位の多極子展開から出てきますので,もし気になったらジャクソンの電磁気学…
先の記事で「電気分極現象では変化量だけが重要だ」と言いましたが、ここで一度分極の絶対値を定義しようとしてみましょう。 電気分極の話が出るとき、高校なんかでよく扱われるのがクラジウス・モソッティのモデルというやつです。例えば水分子は酸素原子の…
誘電分極 - Wikipedia この記事のように、分極がミクロな分極子による寄与だと捉えることには困難があることが知られている。電気分極の物理は相当に深いのだ。 モダンな扱いとしては、ベリーの位相を用いたものが知られている。分極についてきちんとした理…
バンドの理論の話で、議論をした。バンド理論は学部で習うものの、イマイチ自信がもてないところがあるのだ。 バンドの理論を考えるということで、まずは周期的な1次元系を考える。ブロッホの定理によればこの系の固有状態はブロッホ関数であって、それは周…
ついったでも多少議論したなぞなぞ 面倒なのでとしてしまう。 [x,p]=iをx固有ケット・ブラで挟む。左辺は 一方右辺は さてこの食い違いはどっからきたのでしょ。
教養課程の電磁気学は、受験問題を解くためにやった物とかわりがなくて、とにかく退屈だった*1。そんななか、教養課程の電磁気学(マクスウェル方程式へたどり着く過程)で印象に残っているのはこんな問題だった。 「電流が磁場を作るということが知られてい…
後期も演習のTAを担当することにした。今度は教養の電磁気学の演習である。担当のクラスは材料系である。マクスウェル方程式に至るまでの演習は何をやっただろうか。色々とキーワードが浮かぶが、「場」の考え方に親しむというのが一つの大きなテーマだろう…
シュレディンガーの猫について、周りの人が話しているのを聞いたことがほとんどない。授業でこのワードを耳にすることはほとんど皆無だと言っていいと思う。実際ぼくも「シュレディンガーの猫」という言葉を授業で聞いた記憶は、雑談中のただの一度しかない…
実対称な確率行列に従う系の振る舞いを、rubyでコードを書いて追ってみようと思ってメモ帳を開いた。「そうだ、rubyをやろう」と思ったのはもうずいぶん前で、しかも杵柄とる前にあきらめてしまっていたのだが、簡単な制御の構文くらいは覚えていて、2,3分で…
レポートは一段落した。 低温物理学のレポートが「授業で扱ったテーマから一つ選び、まとめた上で自分の研究テーマと結びつけて論ぜよ。」という、珍しく自由なレポートだったのでのびのび書いた。枚数指定の8枚をTeXで、割りとがっつり書いてしまった。 テ…
4日目 4日目の朝は本当に辛かった。ドクター中松について語りすぎたおかげで、3時間半しか寝られなかったためです。というか講義の前半はほとんど寝ていました。くそー。アンダーソンモデルが出たときは「アンダーソンももう駄目か」などと思われたというこ…
ナツガク中に、Jarzynsky等式の導出について友人から教えてもらった。お酒を飲みながら、ヴィジュアルエイドなしだったのであやふやな理解だが、あるパスを逆向きに辿る過程が実現される確率が、系が熱浴から過程中にもらう熱量で書けて、というところに非常…
なんか途中からですます調になってしまった。 2日目 2日目からは講義が始まる。三日間の集中講義であるが、各分野の第一線の先生方をお招きしてお話していただくということでナツガクのメインの座に相応しい。僕は低次元電子系における共形場の理論で有名な…