何もないところから電荷が出てきたり消えたりしない

local charge conservationがゲージ不変性と同等であることを示す.以下の議論の大体のところはSchrieffer "SUPER CONDUCTIVITY"による.

ある点における連続の式:
 \nabla \cdot \vec{j}(\vec{r},t)+\frac{\partial \rho_{\rm e} (\vec{r},t)}{\partial t}=0
を考える.ここで \vec{j},\rho_{\rm e}はそれぞれ演算子である.これをフーリエ形式で書けば
 \vec{q}\cdot \vec{j}(\vec{q},q_{0})-q_{0}(\vec{q},q_{0})=0
これは(-1,1,1,1)という計量を入れればアインシュタインの規約を用いて
 q_{\mu}j_{\mu}(q)=0
と書ける.以下では q:=(\vec{q},q_{0})などと約束する.期待値をとれば電流の期待値に関する
 q_{\mu}J_{\mu}(q)=0
を得る.ここで線形応答理論により,JはベクトルポテンシャルAについて
 J_{\mu}(q) = -\frac{e}{4\pi}K_{\mu \nu}(q)A_{\nu}(q)
と書けるとすると*1,上の条件は
 q_{\mu}K_{\mu \nu}(q) = 0
となる.これが電荷保存則による条件である.


次にゲージ不変性が要求する拘束条件を求める.ゲージ変換
 A_{\mu}(q)\to A_{\mu}(q)+iq_{\mu}\Lambda (q)
に対し,電流(これはオブザーバブルである)が不変であるという要求をすると,
 K_{\mu \nu}(q)q_{\nu}=0
という条件を得る.これが先の式と同値であることを示すには, K_{\mu \nu}対称性を考慮しなくてはいけない.いまKは線形応答理論より導かれる係数であり,
 K_{\mu \nu}(q)=\frac{4\pi}{c^{2}}R_{\mu \nu}(q)+\frac{1}{\lambda_{\rm L}^{2}}\delta_{\mu, \nu}(1-\delta_{\nu, 0})
ただし
 R_{\mu \nu}(q) = -i\int \mathrm{d}t\langle 0| [j_{\mu}(\vec{q},t),j_{\nu}(-\vec{q},0)] |0\rangle \theta (t)e^{iq_{0}t} \lambda_{\rm L}^{2}=mc^2 /4\pi ne^{2}
である.このことから
 {\rm Re}K_{\mu \nu}(q) = {\rm Re}K_{\nu \mu}(-q)
 {\rm Im}K_{\mu \nu}(q) = -{\rm Im}K_{\nu \mu}(-q)
が言える.従って q_{\nu}{\rm Re}K_{\nu \mu}(q) = {\rm Re}K_{\mu \nu}(-q)q_{\nu} = 0,書き変えて {\rm Re}K_{\mu \nu}(q)q_{\nu}=0を得る.同様にして虚部についても {\rm Im}K_{\mu \nu}(q)q_{\nu}=0.従って,ゲージ不変性より要求される条件が電荷の保存則と同値であることが示された.


電荷保存則はグリーン関数の言葉でWard's identityとして扱われる.一般にこの恒等式を満たすためには"density wave"や"backflow"を考慮しなくてはいけない.これはバーテックス補正の計算に他ならない.

*1:また別に議論をする