波数のはなし その1

バンドの理論の話で、議論をした。バンド理論は学部で習うものの、イマイチ自信がもてないところがあるのだ。


バンドの理論を考えるということで、まずは周期的な1次元系を考える。ブロッホの定理によればこの系の固有状態はブロッホ関数であって、それは周期関数uを用いて \phi_{nk}=e^{ikx}u_{nk}(r)と表されるのであった。ここで、kは実際の運動量に比例する量になるとは限らない。つまり、 \int \phi_{nk}^{*}(-i\nabla)\phi_{nk}dx = k + \int u^{*}(\nabla u)dxである。従って、バンド図(上に出てきた波数kとエネルギーの関係)における"分散関係"は厳密な意味で言う分散関係ではないような気がする。

分散の傾きは、キャリアの速度になる。これは解析力学を学べば当たり前のことだ。 \partial H/\partial p = \dot{x}である。ここでいう運動量pは正準運動量と呼ばれるもので、 p=\partial {\cal L}/\partial \dot{x}である。この議論は純粋に極値原理から導出されるものであり、最小作用の原理を採用する以上、問題はない。要するにこれは量子力学においても正しい式だということになる。