ホームレス博士

ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)

ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)


以前「高学歴ワーキングプア」を著した水月昭道氏による本。博士の就職状況に関する客観的なデータと考察を期待していたが、これは的外れな期待であった。
前半部、これは著者の恨み節が連ねられている。同じ大学にありながら待遇・保障の面で優遇される常勤講師と、使い捨てされる非常勤講師、事務職員たち。これを悲嘆する現在非常勤講師の著者。なんか読んでいて疲れた。どこかのブログに書いてあるような愚痴にしか思えなかった。この点に関して著者が的をはずしていると感じるのは、大学教員の役割として研究を軽視しているとしか思えないような書き方をすることだ。大学は単なる教育機関ではないと思うのだが。もしかしたら著者の大学だと大学は単なる高等教育機関に成ってしまっていて、こんな感じなのかもしれない。そこはわからんけど。
後半部は著者の開き直りパート。学問を志す動機を見直している。そうなんだよ。「博士に進んだ。俺は高学歴だから優遇されるはずだし専門を生かせるはずだ」なんて考えるのがおかしくて、ここまで読んでいて感じていた違和感というのはそういうことなのだろう。と感じた。本人が本当に納得をして学問をしていればそれでよしだし、気に食わなければ専門を離れて金稼ぎをすればいいじゃない。トレードオフ
最後にきてようやく著者と気が合った。よかった。