冬休みの過ごし方

冬休みは論文を書いて過ごします。卒業研究から起算して1年間ほど同じようなテーマをやってきましたが、論文を書いて一区切りつけたいと言ったところ、Goサインがでました。率直に言って自分がやった計算なんて誰でもできるものだと思っていたので、論文になるとはあまり思っていなかったのですが、書き方はあるが論文に載せる水準ではあるということだそうです。嬉しいなあ。投稿する論文誌は目的によって選ばなくてはいけないらしいです。例えば学振や博士の学位申請に必要なのであれば、レフェリーが一人しかつかないこの雑誌だとか、テーマの流行り廃りに合わせてこの雑誌だとかいった感じです。ひとまず標準的な論文誌を目標に定めました。こたつでみかんを食べつつ、論文の草稿を書いていきたいと思います。


内容についてですが、卒業研究では電気伝導に関するテーマを先生より与えてもらい、計算を行いました。今振り返るととても教育的なテーマだったように思います。場の理論を用いた多体系の理論に関して、実際的な目的を通した理解が進んだと感じるからです。
通常、伝導現象を扱うとき用いられるのは線型応答理論です。これは外場が系にかかったとき、その応答を外場に対して線形の領域で展開するという理論で、具体的には久保公式を指します。学部の統計力学では扱っている例を知りませんが、少し程度の高い統計力学の教科書ならば扱われています。例えば阿部龍蔵の「統計力学」など。久保公式を学ぶと、扱える問題の数が急激に増え、理論の強力さを実感することができます。自分自身が強くなった気がしてきます笑
大学院に入ってからは電場に対する非線形効果の研究もまた行いました。光学現象には非線形効果が本質的なものがいくつも知られていますので、光学的性質に関する研究ということもできます。このような現象を調べるに当たって、前述の線型応答理論はもはや用いることができません。別の理論として用いられるのが、Keldyshとか非平衡グリーン関数とか呼ばれるものです。これがまた精巧にできていて、計算のたびにちょっとした感動があります笑。これは日本語でよい教科書があまり浮かびませんが、英語でも構わないならば適当なレビュー論文を読むとよいでしょう。


いろいろなことが見えてきて、物理が本当に楽しい今日このごろです。