夏の学校まとめ3

4日目

4日目の朝は本当に辛かった。ドクター中松について語りすぎたおかげで、3時間半しか寝られなかったためです。というか講義の前半はほとんど寝ていました。くそー。アンダーソンモデルが出たときは「アンダーソンももう駄目か」などと思われたということ、近藤効果には電子相関の全てが詰まっていることなどが語られました。動的平均場の考え方に至る道筋が明確に示されて非常に面白いと感じました。今後の勉強の指針になると思います。


このくらいの時期になると、疲れが蓄積してきて食欲がなくなってきます。というか前日のドクター中松が効いて来て食えませんでした。夜更かしは若者の特権なのです。食後はポスター2日目。こんどは聞く側でした。ナツガク校長の発表はさすがとしか言えないほどの出来で、大変親切に説明をしてもらいました。最近興味のあった非線形光学現象に関する理論についていくつかの論文を教えていただけたので、今後の研究に役立ちそうです。後は、カイラルp波超伝導体についての理論発表など。超伝導は授業でやったくらいしか知識がなくてよくわからなかったのですが、あれは2次元電子系についての話なんですかね。2次元超伝導体といえば、グラフェンの2層系における超伝導の効果と言うのについて、3日目の飲み会のときに耳にしたのでした。面白いですね。普通のS波超伝導体とTIの接合系について何か面白い現象が見えるかもと思ってやっている人は多いみたいですが、スピン3重項についても何か起こるはずだと発表者の方は言っていました。あんまり細かいこと書いても面白くないですね。これくらいにしましょうか。


4日目は分科会ではなくてサブゼミという、1日限りのself-containedな講義がありました。内容についてはほとんど理解できなかったので書きませんが「門外漢にイントロなしでセミナーをするのがこれほど残酷なことだとは!」という教訓を得ました。これは今後の糧になる。


食事はうなぎの卵とじが出ました。夕食の豪華さが異常なのがナツガクの特徴。幸せになれます。隣に校長(イケメン)が座っていたので、食事中に物理の話題を出すことの無粋を詫びながら昼間のポスターについての質問をしてみたところ「物理はご飯を何倍にも美味しくする」という金言をいただきました。校長は偉大な方です。そして回答してくださった内容を忘れてしまった僕はそこら辺の野良猫程度の知性しか持ち合わせていない。


飲み会でははじめ、リズム現象についてのサブゼミをもたれていたK先生と話していました。「縮約とくりこみは違うのか」という僕のアホな質問に対しても「全然違いますよね」とちゃんと答えてくださったので嬉しかったです。計算物理をやっていらっしゃるI先生も交えて、物理におけるユニバーサリティについて話し合いました。非常に参考になる考え方をいただきました。結構アグレッシブな表現をなさる先生で「ユニバーサリティって幻想でしょ」というのが印象に残っています。人によっては許せないんだろうな。そのほか学生とも何人かと話しましたが、計算物理をやっている方は、やはりいわゆる「理論」のひととはメンタリティが異なる気がします。新鮮な体験でした。他に物理の話題で言えば、駒場統計力学をやってるひととセロテープについて話しました。あと2重振り子と摩擦のない床面でコマは回るかという話題。2重振り子については僕は前から疑問というかissueがあって、高校生に2重振り子が保存系であることは簡単に説明できるのかということです。ラグラジアンを書き下せばまあ当たり前でしょうが、単振り子と異なって、2重振り子はそれぞれの質点の変位が張力が仕事をするので、あまり一筋縄には行かない気がするんですよね。今回の雑談では難しいんじゃないかということになってしまいましたが、本当のところどうなんでしょう・・・まあそのうち解決したいです。


最終日と言うこともあって異常なテンションでした。特に校長はウィスキーを飲んで「フェルミ面付近の電子」や、低次元系における「朝永ラッティンジャー液体」をイメージした踊りを踊ってくれましたが、僕は「アレだけの量のウィスキーを一気に飲んであんなに激しく動いて大丈夫だろうか」と心配になりました。しばらくして校長は会場から一時的にフェードアウトしていたので、大丈夫ではなかったのでしょう。日付が変わったころ、前日の寝不足もあり早めにフェードアウトしようと思った僕ですが、友人とロビーで酔い覚ましをしてから帰ることにしました。途中から校長らも混じってしばらく話しているとエレベーターから女の子が降りてきました。親方、階上から女の子が。昨日のおしゃべりな女の子でした。この子がじっくり話すとかなりのつわものだとわかりました。中高とずっとオーストラリアに留学していたとか、実験をしに単身イギリスに行ったとか、すごい子でした。負けた・・・もしも次参加するときは持ちネタをたくさん用意していく必要があるようです。

んでまあ色々話していたら5時半になってしまったので解散しました。大浴場に行ってから寝ました。

最終日〜帰宅

最終日、というか閉校式を終えたので正確にはナツガク後の話になります。朝飯の時間をスルーしてグーグー寝ていたら、あっという間にチェックアウトの時刻になってしまいました。10時に友人と待ち合わせをしていたので少し早めにロビーに下りて三河湾のえびせんべいをお土産でかいまして、何人かと連絡先を交換して帰途に着きました。まあここからが大変なんですがね。


帰りも当然鈍行を使っての上京です。途中浜松で下車してうな重を食べました。2500円でした。


電車の長旅は腰が爆発しそうになります。そのうえ退屈。メールで他の参加者にちょっかいを出します。「腰が爆発するー」「こっちなんか渋滞だよー」軽自動車にpackされて渋滞につかまりながら12時間かけて到着したグループでした。間違いなく地獄絵図。品川に着いたのが午後6時。帰りがけに研究室に荷物を置きに行ったら誰もいなくて入れませんでした。残念。帰宅してシャワー浴びたころになって、さっきのメールの返信が返ってきました。「やっと東京だー」帰りも12時間かかってやんの。

まとめ

そんなこんなでナツガク、楽しかったですよ。とりあえず、朝起きて風呂入って、飯食いながら物理の話、講義して昼飯、物理の話して夜飯、物理の話で酒を飲んで、部屋に戻って物理の話*1、なんて環境はなかなかありませんぜ!それからご飯が美味しい!物理好きならこれ以上の幸せはないですよ。

*1:まあ、ドクター中松の話とかもしましたが