物理

ひーとらんすふぁ

熱伝達の理論を勉強してると熱的適応長という長さが登場する。 これが何か未だによくわからないのだけど,こういう量を考えたくなるモチベーションが分かってきた。例えば金属の壁と接している流体があるとする。壁と気体の温度が異なっていると,熱が移動す…

グリーン・久保の公式のグリーンさんとグリーン関数のグリーンさんは別人だった。ずっと同じ人だと思ってた。ちいショック!

将棋倶楽部24という将棋対局サイトがあって,先日の電王戦でプロ棋士に勝利したponanzaが連戦連勝を挙げているみたいです。多少苦手な局面があるとは言うものの,盤石もいいところで,よほどの事件が起こらないは限り勝ってますね。最高レーティングも更新し…

修士課程まで理論を追っていた自分が,将来の実用を考えながら実験・開発的な領域に身を置くことで,この一年間いろいろ考えることがあった。それらの中に,測定が持つ神聖な意味とは情報の増大なのだと思うようになった。これは理論が原理に含意される結果…

温度上昇で縮む物質による熱サイクル?

普通の熱力学の教科書に載っているカルノーサイクルでは,温度が上がると膨張するような,普通の気体を作業物質にしたものが紹介されている。しかし周囲を見回せば温度の増加とともに体積が減少する物質もあちこちに見つかる。(例えば何があるだろう?続き…

FERMIT

Thermodynamics (Dover Books on Physics)作者: Enrico Fermi,Physics出版社/メーカー: Dover Publications発売日: 1956/06/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る 学部生1年の頃,背伸びをして英語の教科書…

ワットによる知られざる発明

科学史上の通説ではクラペイロンということになっているそうだが,実際のところ史上初めて熱力学の議論においてpV曲線を用いたのは,かのジェームズ・ワットらしい。ワットは元々グラスゴー大学に出入りする道具屋さんだったそうで,化学者であり物理学者で…

断熱圧縮をめぐるあれこれ

はてなブックマーク - 【物理】未だに隕石が高温になるのが摩擦だと言ってる奴多いが 宇宙&物理2chまとめ 概要:隕石の大気突入時の温度上昇は,従来説明されてきたような「空気との摩擦」ではなく「断熱圧縮」なる機構によるものなんだぜぃ(ドヤッ 参考資…

量子力学の土産話

この世に存在する粒子が2種類しかない―フェルミオンかボゾンか―と聞いた時は驚いたものだ。電子や陽子のような物質を構成するような粒子も,また光子をはじめとするゲージ粒子も基本的にはすべて2種類に分類されるのだから。物理学があらわにした普遍性とい…

思い出話的になるが,音波が断熱的なサイクル過程であるというのは初めて知った時は割とビビった。だって熱い空気と冷たい空気が触れ合えば混ざり合って温い空気になるように思えるじゃん。結局,時間的なスケールが大事なのであって,一秒間に20〜2万回のサ…

押されたらもどるものの話

学部のわりと初めの方で,波動と熱を取り上げた物理学Cという授業を受けた。つかみどころのない単元がセットになっただけのようで,力学のような分野と比べると目的も括り方もよくわからない授業だったが,現象論というものに触れることが目的だったのかもし…

nostalgic

大学の頃は勉強しそびれたことがたくさんあった。場の量子論についてはきちんと学べなかったと思い,後悔がある。でも勉強だけならどこだってできるだろう。と,思っていたものの実際はここんところ仕事時間が増え,物理の勉強もなかなかままならない。仕事…

A generalized form of the Pauli exclusion principle gives insight into the quantum wave function describing multiple electrons.

Viewpoint: Pauli Principle, Reloaded タイトルに惹かれて本当になんとなく読んだ。それ以外に理由はない。量子系シャレオツ物理であった。以下メモ。 原子や分子の電子構造を支配する原理が明らかになった現代においても,一部においてはパウリの排他原理…

quiz

ウィキペディアを眺めていた。プランクの法則は または と書かれる。一瞬「上の式に入れても下の式でなくね?」と思ってしまったがそれは誤りである。これはちょっとしたクイズにならないだろうか。 Q: 上で単純にν=c/λとするのは何が誤りか? ついでである…

北半球で時計回りの台風の例はあっただろうか

傾度風は屈曲した等圧線の存在下、気圧傾度力、コリオリの力と遠心力の釣り合いの結果として実現される。コリオリの力は気団の速度vに比例し、コリオリの力はvの2乗に比例するので、原理的にはありえない話でもない。さらに遠心力は台風の中心からの距離rに…

ビーム状に絞られた縦波(例えば音波)が物体に当たり、反射と吸収が起こっているとする。この時物体に時間的に平均された力が働くことについてどういう理解ができるか。

ゴムの熱力学

問1 1 次元のゴムを考える. 温度T の等温環境において自然長からの変位x に対する復元力f を測定すると f = -ATx になった. A はT, x に依存しない定数である. さらに, このゴムのx を固定したときの熱容量を測定 すると, T, x に依存しない定数C だった. 最…

炭酸飲料の件のまとめ

飲みかけのペットボトル入り炭酸飲料を保存する際、つぶして蓋をするのと加圧して蓋をするののどちらが炭酸が抜けにくいか?という問いですがようやく結論が出ました。 炭酸飲料から二酸化炭素が抜けていくとき、考えなくてはいけないメカニズムは二つありま…

熱力学楽しいしいろいろ脱線してみたけれども、さすがにそろそろ本丸に攻め込みたいところ。 RINのチラシの裏ブログ : コーラの炭酸を抜けないように保存したいんだけど ううむ。たしかにチラ裏だけれど中には実験してみた人の書き込みもあってなかなか健全…

共存系の熱力学的自由度

共存系の熱力学的な自由度についてGibbsの相律というのが成り立つ。c種類の成分からなる物質がr個の相に分かれて平衡にあって共存する場合、この平衡状態の自由度fはf=c-r+2であるというのがGibbsの相律である。 証明は以下の通りである。c種類からなる一つ…

Gibbs-Duhem

Gibbs-Duhemの関係の導出にはGibbsの自由エネルギーを使うというのが普通のように思う。でも別の熱力学関数を使っても求められる。 dF=d(U-ST)=TdS-pdV-dS*T-SdT+μdN また、Eulerの関係式F=-pV+μNからdF=-dp*V-pdV+dμ*N+μdNなのでこれらを連立させて SdT-Vdp…

(T,p,{N[i}})なる変数で記述される平衡状態において、混合理想気体における成分jについての化学ポテンシャルはμ[j](T,p)=μ0[j](T,p[j])となる。右辺は純物質jの系でのjの化学ポテンシャルである。なので混合気体のGibbs自由エネルギーは G(T,p,{N[i]})=ΣN[i…

Henryの法則 (補足)

前回書いた記事について補足がある。前回はGibbs-Duhemの関係式から議論を出発させた。Gibbs-Duhemの関係式は だった。ここでT,p,G_{i}が自由な変数というわけではないことに注意する必要があるということだ。自由度の数について考えると2成分2相系を考える…

Henryの法則

Henryの法則はひとまずRaoultの法則から導出できる。Raoultの法則は溶媒Aと溶質Bの混合系において溶媒の飽和蒸気圧がであることを主張する。p_{A}^{0}は純物質のAの飽和蒸気圧を表し、x_{i}(i=A,B)でA,Bのモル分率を表すものとする。Bが希薄である時x_{a}は1…

研究のやりかた

LabVIEWというプログラミング言語を勉強している。学生実験でも使ったことがあるが、プログラミング言語と言ってしまうにはあまりに玩具っぽい言語だ。とういかバーチャルな計測・表示機である。 「LabVIEWは世界共通言語」 「できないと笑われますよ」 と言…

炭酸

以前、炭酸飲料について記事を書いた。飲みかけのコーラの炭酸が抜けにくくするために、ペットボトルのふたを閉める前に潰す、といううわさについてのやつだ。その時は「YES」と結論したのだけど、考えてみるとやはりよくわからなくなってしまう。 柳に燕*1 …

比熱の定義を思い出した話

比熱というと普段は定圧、定積くらいしか扱わないので必要に応じて適当に気体定数Rを足したり引いたりしてごまかしていた。一般的な定義というのを忘れてしまっていたのだが、このことを先日ツイッターでちょっと話していて思い出す機会があった。 久保亮五…

熱力学の練習問題

とても簡単な問題ではあるし、レベルとしては熱力学を習いたての学部生でも解けるものだろうけれど、自分の場合熱力学には不安があるので考えを整理しながら等式 というのを示す訓練。この式が温度Tにおけるものであることから、ルジャンドル変換によりヘル…

問題

ふと思い出した問題がある。どこかの科学クイズ本に書いてあったものだと思う。いま、A,B,C,Dの四人が一辺の長さLの正方形の部屋の四隅にいるとする。 ここで「ヨーイドン」の合図で皆一斉に歩き出してもらうのだが、歩き方にミソがある。つまりAはBを、BはC…

temperature

最近主に通勤時間を使って熱力学の教科書を読んでた。清水明先生の「熱力学の基礎」というやつ。 熱力学の基礎作者: 清水明出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 37回この商品を含むブログ (19件) を見る つ…