トポロジカルってどういうことよ?

"トポロジカルな議論"というのがあるようで、量子ホール系とかベリー位相とか調べているとちょくちょくぶつかります。最近ではTIやTSなんてのもぽんぽん出てくるようで、まあ言ってみりゃ流行みたいなものなのかもしれません。しかし自分にはいまいち「トポロジカルな量」というのが何を指しているのかわかってないようです。研究室の輪講でKohmotoによる量子伝導率の議論*1を読んだときは、「ゼロ点の存在定理のようなものか」などとも思いましたが*2、どうももっと深くて広い意味があるらしく、最近いろいろな人に聞いてまわっています。このメモはその残り滓です。トポロジーという言葉が何を指すかというのは恥ずかしながら僕自身よくわかっていないのですが、簡単に言えば点の集合の連続的な変化によって不変な性質を扱う数学ということになるのでしょうか。なにかまずい点があるかもしれません。気づいたら教えていただきたいのですが・・・


まずはなるべく具体的な例を踏まえてトポロジーがどこで物性に絡んでくるのかということを復習してみたいと思います。ふつう物性物理で現れるトポロジーが具体的に適用されるかというと波動関数です*3。通常物理においてある系を考えるというのは、そのモデルに対するハミルトニアンで与えられる固有値問題を解くことと同値です。ハミルトニアンは主要な項と摂動で扱われるべき項を持っていることが多く、それぞれの項の大きさを決めるパラメータを持っています。パラメータは例えばハバードモデルにおけるホッピングパラメータであったり電子間相互作用の大きさであったり、はたまたスピン軌道相互作用の大きさ \lambda _{\rm SO}であったりするわけです。そして、これらのパラメータの大きさを変化させたときに見られる、系の示す状態の変化を図にしたものが相図と呼ばれるものです。さて、このようにパラメータを変化させたとき、波動関数の形状も変化を受けるわけですが、パラメータの変化が微小な場合波動関数の形状の変化もまた微小であると期待されます。これは相転移がある場合については成り立たないのですが、とりあえずそのような場合を忘れることにします。
具体的な例を見ていくのはまたいつかにしましょうか。

*1:有名なTKNN論文の一般化になってるんだったかな?Annals of Physicsのレビュー論文です

*2:トポロジカル欠陥?

*3:結晶のトポロジカルな欠陥を表すBurgers vectorなんてのもありますが