ひーとらんすふぁ

熱伝達の理論を勉強してると熱的適応長という長さが登場する。
これが何か未だによくわからないのだけど,こういう量を考えたくなるモチベーションが分かってきた。

例えば金属の壁と接している流体があるとする。壁と気体の温度が異なっていると,熱が移動する。
このとき温度という概念はかなり微妙なものになると思うのだけど,あまりに正直に系を扱うのは
手におえないので,例えば温度が壁に鉛直方向に連続であると考えたい。

このとき壁と流体の間のエネルギー流(今考える系ではこれは熱流と同じ意味だ)はどれくらいかと考える。
ミクロな気体分子の描像からこれを扱うのは難しい。簡単なモデルを立ててエネルギー流をシミュレーションから
求めることはできるかもしれないが,実際の系においてそれが成り立つかというとまたそれは難しい。
例えば境界がちょっと油で汚れていたり,酸化被膜がくっついて壁の物性がちょっと変化していたりすると
理論からずれてしまう。そこで,このエネルギー流については実験によることになる。

現象論的に考えて,ちょっとすっきりできる。境界から微小な長さだけ流体側に仮想的な面を考える。
このとき流体を貫くエネルギー流の大きさはJであって,これは古典的なフーリエの法則に従うとしてしまう。
流体と壁の温度差による温度の勾配がこのとき特徴的な長さlが自然に導入される。

オーダーとしてこれがどれくらいになるかというのは興味が持たれるところ。
層流とみなせる系でで生じる程度のわずかな熱の移動くらいであれば,
数十ナノメートル〜数百ナノメートル程度じゃないかな。ちゃんとは計算してないけど。

むずかしそ。