熱力学からはじまる

うちの大学では、1年生のときに物理学A,B,Cという三つの授業をとる。それぞれ内容は、質点と剛体の力学、電磁気学、そして熱力学&波動だった。
1年生の頃はどうして力学、電磁気学、熱力学という名前の授業じゃないのか、不思議だったのだが、最近は何となくわかるようになってきたかもしれない。つまり、これらの授業は学問としての体系をあまり重視していないのだ。それぞれがきわめて現象論的であり、そういう意味において境界があやふやなのだ。
振動や波について考えると一番良くわかると思う。振動という現象は様々な物理の分野に登場する。例えば、音波や光波はいうに及ばず、量子力学でも物質波の考え方というのをやる。それらの波はすべて干渉し、回折し、反射し、おなじ考え方で記述する事ができる。このようなさまざまな分野にまたがった現象を記述する最初の準備として波動や波を学ぶ必要があるのだ。

このような観点を持って熱力学を眺めてみると、熱力学はエネルギーに関する現象論だと解する事ができるように思う。物理の他分野において現れるエネルギーの扱い方の基礎として、熱力学は存在する。


こうして考えると、物理学の諸分野を分類するというのは、かなり難しい事のように思われてくる。幸い自分には時間がある。ゆっくり考えてみるのも、悪くない。