D_{R}の定義について

例年にない、暖かなバレンタインデーを上野公園を歩いて過ごしていると、五条天神社の境内に、つつましやかに梅が咲いているのが見えた。各地で梅が見ごろのようである。向ケ丘遊園の梅は春を喜ぶようであった。そういえば湯島でも梅まつりが開かれているそうだ。

境内の中、人目を集めていたのは河津桜だった。早くに花をつけ、すでに黄緑色の新芽を日の光に照らされていた。光に透かしてみると桜は、薄い花弁が透けて見え、濃淡の模様を作っていた。
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上野公園の中ではカンザクラが日本人や外国人やネコに囲まれ、人気を集めていた。

まあそりゃいいとして。
今年は、学生のころに買ったまま積んでいた教科書をついに開いて、場の量子論の勉強をしている。Peskin & Schroderというやつで、「できる学生は読んでいるはず」という当時持っていた謎の思い込みと、円高に乗って買ってしまったものだ。読んでみると、物性で学んだ場の量子論と特別違ったことはしておらず、半分拍子抜けのような感じがしている。ただ、ディラック場の扱いに慣れる意味では、計算を追うのは面白い。
そのディラック場のプロパゲーターなのだが、3.117には
 S_{\rm R}(x-y)=(i\gamma^\mu \partial_\mu -m)D_{\rm R}(x-y)
とある。Dとは何だったかと定義を振り返ってみると、クライン・ゴルドン(KG)場について定義された2.55式まで戻る必要がある。
 D_{\rm R}(x-y)\equiv \theta (x^0-y^0) \langle 0|[\phi(x),\phi(y)]|0\rangle
しかし、S_Dの式中のD_Rがこの量を指しているのではなさそうである。上記のD_Rは、KG場に限っては
 \int \frac{d^4 p}{(2\pi)^4)}\frac{i}{p^2-m^2}e^{-ip\cdot (x-y)}
となるようである。上記の、3.117式中のD_Rは、どうやらこの変形後の式を指しているようだ。この本は読み進めるには多少の注意が必要なようだ。