下に書いたことには間違いか、過度の単純化が含まれている気がする。フーセンを膨らませる過程は断熱過程だろうか?十分にゆっくり膨らませると仮定するならばこの過程は等温過程となり、エントロピーの極致ではなく、Helmholtzの自由エネルギーF=U-TSの極値として解が与えられる。


ばねはエネルギー弾性だ。Hooke型のポテンシャルを見るまでもなく、ばねがたくさん伸びれば伸びるほどポテンシャルエネルギーが高くなる。運動エネルギーを無視してしまえば \cal{H}=U=\sum_{i}^{N}|x_{i}-x_{i+1}-a|となる。ばね長 L=\sum_{i=1}^{N}x_{i}を一定に保ったまま、ばねのエネルギーUを最小にするxのset \{x_{i} \}_{i=1}^{N+1}として、解が与えられる。これがエネルギー弾性。具体的にはLagrangeの未定乗数法でも使えば解けるんじゃん?(はい、宿題)ばねがみな同じばね定数をもてば、ばねの伸びが皆一緒になるのはほぼ自明。


一方、ゴムはエントロピー弾性だ。これをちゃんとやるのは結構面倒なので、上と同じく概要だけ簡単に。ゴムは、モノマーと呼ばれる小さな分子が重合し、ポリマーと呼ばれるやわらかい鎖を作っているのだ。実は分子がつながってやわらかい鎖を作るということのみからゴムの弾性が導かれる。話はそれるが、自分が物性物理が面白そうだ、と思ったきっかけになったのがこのゴム弾性だったりする(大学院の志望理由書にも書いてしまった笑)。現在はゴムとはかけ離れたことをやっているわけだけども。
ゴム弾性が導かれる定性的な議論はこうだ。あるゴムの1分子(鎖)を考えたとき、この鎖が長さlを取るときの状態数を考える。この鎖を自由に動ける関節と、剛体の棒からなるモデルで置いてしまうならば、これらの腕と関節の可動域の広さと言い換えても、まあ、構わない。この状態数(可動域)が大きいということは、すなわちエントロピーが大きいということである。物理になれている人ならきっと S=k_{B}\ln Wなんて式が浮かぶかもしれない。状態数の大きさを考えたとき、鎖が一直線になっている状態と、鎖が折れ曲がった状態の、どちらの方が大きいだろうか(可動域が大きいだろうか)?計算すればわかるのだが、実は鎖の両端が狭いほど状態数は大きい(不正確かもしれない。そのうちちゃんと計算して追記しよう)。これが何を意味するかといえば、つまり鎖は「隙あらば縮もう」としているというわけだ。実際には、分子は絶え間なく熱運動をしているわけで、このエネルギーとの折衷点として自由エネルギーが極値を取るような長さLに落ち着くのだ。これが、ゴムの弾性の由来。


ご飯が炊けたようなのでとりあえずここまでにして、続きは次の投稿に回そう。