6章 古典気体のクラスター展開(1)

キュミュラントの物理における具体的な応用として古典気体のクラスター展開を考える。古典気体の分子間相互作用が理想気体の状態方程式からどれくらいのずれを与えるかを見ていくのがこの章の主題ということになります。一応こっから物理への図形的手法の導入が始まるので、おもしろくなってくると言えばなってきます。興味がある方はぜひ阿部の教科書を手に取ってみるといいと思います。

6.1 古典気体の熱力学関数

自由粒子に2体間相互作用をいれてみよう。2体力vが入った系の分配関数は次のように書けたのでしたね:
 Z=\frac{1}{N!}(\frac{2\pi m k_{B}T}{h^{2}})^{3N/2}Q
この"Q"の前部分は理想気体の分配関数。ポテンシャルが粒子の相対位置にのみ遺存しているとき、粒子の運動エネルギーは運動量にのみ依存しているので積分を分離できるのでした。Qをあらわに書き下すとこうです:
[tex: Q= \int \exp(-\beta \sum_{i