物理を日常の言葉で語ることの難しさ

昨日の朝の宣言通り、蔵本先生の新書を読んでいる。まだ半分ほどなのだが、今のところすごく読みづらいという印象がある。それは著者のせいじゃなくて、おそらくこの分野に確立された指導原理とか、統一的なモノの見方というのが確立されていないことに起因する気がする。あと、やっぱり数式を使わないとダメだな。結局言葉が独り歩きしてしまう。これで興味を持ったら、ちゃんとした力学系の本なり、非平衡熱力学の本なりを読まないとダメだろう。まあ、詳しい感想は全部読み終えたら書きます。


言葉が独り歩きする、ということは別にこの分野に限ったことじゃない。それは日常語でなじみがあるものほど実は起こりやすい。たとえば、「熱」という言葉。熱力学の体系の中でどのように定義されるのか、きちんと説明できますか?理系の学生はまあ、そういうのを大学で勉強するのが普通なので、できないなんて人はいないと思うんだけど、そうじゃない人は「熱」って何なのかわからないのだろうな。「熱はエネルギーの一形態です」というのはまあ、悪くないけど本当に理解しているかどうかは分からない。「熱い物体は熱エネルギーをたくさん持っている」なんて言うと、もうすごく怪しい。熱エネルギーを持っているって何だ??そもそも熱エネルギーとは?それは熱力学の範疇なのか?的な。大学でちゃんとやってる学生は、こういうのを見逃しちゃダメよ。一般の読者ならいざ知らず。


こういう混同の問題があるから、日常の用語で物理を語ろうとするのはすごく難しい。初めの話題に戻る。だから、こういう本を読むときは結構注意しないといけないのだ。