Somewhere

somewhere [DVD]

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見た。映画が始って最初の数分は誰も一言もしゃべらない。終わりまでこうってことはないよな(英語の勉強にはなりそうにないな)、と思わず考えてしまった。主人公のジョニーは俳優である。彼には才能が有り、別段の努力なしに成功してしまったということである。金銭的に不自由がないばかりでなく、栄誉ある賞を授かるわ、目が合っただけの女性を幾人も簡単に手中に落とすわ、まあとにかく世間一般に言う成功者であることは間違いがない。ストーリー的に彼は前妻の家出をきっかけに娘との交流を深め、人間的な心を取り戻し成長していくという話なのである。

これを見て思ったことはいくつかあるが、何を差し置いても人間の薄っぺらさ・空っぽぶりがすごい。どれくらいすごいかというと映画を見た翌日に「あいつ空っぽだったなー」と折に触れて思い出してしまうくらいである。俺ほどになると映画を見始めてすぐ「こいつさては空っぽだな」と感づくわけであるが、果たしてその通り、エピソードがいちいち空っぽで、見ているうち可笑しくなってくるのである。この滑稽さはそれだけで一見の価値があると思った。
うん、でもまあこの滑稽さを感じにくい人ってのもいるんだろう、というのはわかる。結局自分の価値観から外れたこととは滑稽に映るもんであるしね。偶然、俺の持ってる価値観からすると彼が空っぽであることは一見してわかるほど自明なことであったが、そういう意味ではこの作品を楽しみつくせていないのかもしれない。言い方を変えればリア充なやつらのほうがこの映画を楽しめるのかもしれない。でも家族ってのはどうやら普遍的な価値を持ってるみたいなんで、リア充と非リアはそこらへんを落としどころとして、互いに共感し手を結べるのかもしれないですね。なんのこっちゃという話ですが。