固体のぶつりの授業があった。講義ノートにさりげなく書いてある式(導出も書いてないし、その後も登場しない)の故郷について、友人が先生に質問をしていた。その式というのはこんな形をしていた。
 W(\b{q},\omega ) \propto \Im \frac{1}{\epsilon (\b{q},\omega)
左辺は散乱確率を表し、右辺は誘電関数の逆数の虚部である。単位時間当たりの遷移振幅を与えるFermi黄金律から計算で求まると思うのだけど、これには実はもっと深い物理的な意味があるらしい。今の自分にはよくわからないが、なんでもこの式は揺動散逸定理そのものだということだ。
確かに、学部で学ぶ物質中の電磁気学で虚数誘電率は系の散逸に関連した量である、ということは学んでいるけど・・・。もっと直感的に理解できないだろうか。ザイマンの現代量子論の基礎にすこし記述があった。両辺に v(\{q})をかけ、計算を行うと粒子対相関関数を用いて
 \Im \frac{v(\b{q})}{\epsilon (\b{q},\omega )} = \pi \{v(\b{q}) \}^{2} (S(\b{q},-\omega)-S(\b{q},\omega))
である。左辺は遮蔽されたポテンシャルを与え、この虚部は非可逆なエネルギー吸収過程のレートに比例するとある。なるほど、と納得したくなるところではある。しかしまだ解決とはいえない。
そもそも誘電関数εの虚部はどこからやってきたものだろうか、これが疑問である。誘電関数は分極関数 \Pi (\b{q},\omega)を用いて \epsilon (\b{q},\omega) = 1+\frac{4\pi e^{2}}{q^{2}}\Pi (\b{q},\omega)と与えられる。つまり誘電関数の虚部は分極関数のそれからやってきたことになる。分極関数は、t=-∞から摂動をスイッチオンすることを反映して(因果的に?)微小なδを用いて
 \Pi (\b{q},\omega )= -\frac{2}{L^{3}}\sum \frac{f_{\b{k}}-f_{\b{k}+\b{q}}}{\epsilon (\b{k}) -\epsilon (\b{k}+\b{q}) +\hbar \omega +i\delta}
と定義されたのだった。もうすでに議論が色々追えていないのだが、一つだけはっきりさせておきたいことがある。このように定義された「分極関数」という関数は、阿部龍蔵の本において「分極部分」と呼ばれ、
 \Pi_{l}(\b{q}) = -\frac{2}{L^{3}}\sum \frac{ f_{k+q}-f_{k}}{\epsilon_{k+q} -\epsilon_{k} -2l\pi i/\beta }
で表される関数(実であることが示される)と、どのような関係にあるのか、ということだ。


ってか、こういう質問って、こっちのレベルが低すぎるがために、先生に答えてもらったとしても理解できないことが多くて嫌になる。早く知識をつけたい。