ランダムな世界を究める


なかなか面白い本だった。著者はアモルファス系研究の第一線の研究者。学生時代の話に久保やら松原やら統計分野の有名人がたくさん登場して楽しい。米沢は数学に非常に強いらしく、成績はトップだったという。現在は教授で、学生には「素粒子・宇宙はすることがもうないから、物性をやれ」とか言っているらしいが、そんなことを言って怒られなかったのか…
興味深かったのは、自分の知らぬ場所でアモルファスが実際に産業分野に生かされていたことだ。量子論の興りが溶鉱炉の輻射問題と縁深かったように、応用・技術面からのフィードバックがあるというのはやはり強みの一つだろう。