蜘蛛の糸・杜子春

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)


ブログでこんなことを書くのは無教養を晒すようで恥ずかしいことであるのだが、芥川の作品をしっかりと読んだのはこれが初めてである。この本は少年少女向けの芥川文学集ということになっている。少し高級すぎやしないか。
中でも興味を引いたのは杜子春だ。解説にもあるように「龍之介の生後七か月ごろに実母のふくが発狂し」たため、彼は母の実家である芥川家に引き取られている。つまり彼は両親からの愛情を存分に受けて育ったとは言いづらい。それどころか彼は「狂気の遺伝を恐れていた」ともある。

このような環境に育ちながら龍之介が杜子春という親子愛を描いたということは、言ってみれば一つの試みだったのではないだろうかと考えた。