科学と神秘のあいだ

科学と神秘のあいだ(双書Zero)

科学と神秘のあいだ(双書Zero)


表紙のかわいらしい絵を見てから気になっていた。買ってすぐに半分くらい読んでやはりほったらかしていた。なんか途中からおんなじようなことばっかり言ってる気がしたんだもん。科学に関するあるていどの知識があると途中に出てくる例はそんなの知ってるよ、となる本なのかもしれない。
何度も形を変えて説明されているのは要するにこういうことだ。個人の体験として「奇跡」と感じられることが、確かに存在する。それらは一見、非常に起こる確率の低い事象であるために、それが自分の前にリアルさを伴って現れると何か神秘的な「奇跡」が起こったのと感じられてしまう。しかし、実際にはそれらの「奇跡」は一定の確率で誰かの身に必ず起こることなのであって、これ自体は科学と相反するわけではない。と。
ここから先は各々が折り合いをつけていけばいい。個人的体験と客観的"事実"について。
細かい感想としては、ロックの話に詳しくない自分は共感する機会を失っているだとか、SFの話がマニアックであるとかそんな感じである。それから語り口。語りかけるような口調で、小学校にいた優しい先生みたいな印象を受ける。文字にすると少しだけ小恥ずかしくなる。ポルノグラフィティのアポロが出てきたあたりで少し打ち解けた。


ここからは内容とまったく関係ない個人的な考えなのであるが「宝くじを買う」という行為は、人間の持っている、確率に対する感覚の鈍さの象徴なのだと思う。さいころを振ったときならば、どの目が出る確率も1/6で等しいと直感的に感じられるにもかかわらず、宝くじを当たることを夢見て買ってしまう。もしかしたら後者のような「わずかな確率を正確に評価し、直覚する」能力が生存に関してあんまり有利に働かなかったからかもしれない。*1

*1:似たようなはなしが「非線形な世界」にも書いてあった