ピペド

ピペド - Wikipedia
初めて聞いた言葉でしたが、おもしろいですね。おもしろいっちゃアレだけど、冷静で的を射た指摘だよね。


一部抜粋してみよう:

一方、分子生物学、生化学といった分野は研究対象に端的にいえば神秘の部分がいまだ多く「数打てば当たる」でピペットを操作し続け実験を繰り返すしかない。(中略)あまつさえ当該分野の研究者を求める場合ですら実際やることはピペット実験がほとんどであり大学院卒業者を雇う理由がない。

また、生物学の源流が博物学であるため、科学が進んだ現代であっても博物主義の思想から脱却できない。そのため、研究内容は無数にある因子(遺伝子、タンパク質等)の同定や機能の分類を行っているものが大部分を占める。他の分野のように大量の研究結果から一定の法則を見出すことを目指した研究(モデル化、シミュレーション、データマイニングなど)や、生体の性質を利用したデバイス等の応用性の高い研究を行うことは少ない。前述のようにピペット作業を反復して繰り返すため、論理的思考力や高度な技術は身に付かない。

特に前半部が興味深い。東大で試験管を振ってる先輩が「分子生物学や生化学のひとたちは、"どうして生命が宿るのか"のような本質的なことをぜんぜんやらない」と言っていた。そこで「それだと化学とか、物理とかに重大な発見も先をこされるかもしれませんね」と冗談半分で言ったら大真面目な顔で「いや、本当にそうだよ」と返されたのを思い出した。


オーバードクターが特に問題になっているのはバイオ系という話はよく聞く。その理由は上に挙がっている通りなんだろう。しかしそもそも、数打って当たった人が偉いなんてそんなワケの分からない世界がそれほど魅力的なんだろうか。自分にはわからない。
人生をギャンブルにしてしまうのはあまりにくだらなくはないなあと。もちろん,理論だからって運が関係ないかと言えばそんなことはないんだろうけど。