最近わかってきた気がする「美しさ」ってヤツ(ぶつり)

自分は今まで物理をやってきたけれど、いわゆる「理論の美しさ」とか「数学的な美しさ」というモノがよくわからなかった。周りの友人の中には、そういったものについて熱く語ってくれるのがいたけれども、俺には理解できなかった。
もちろん物理学科に進学するからには、もともと興味はあったけどさ。漠然と宇宙に興味はあったし、物質の起源に答えを与えてくれる素粒子論なんかに憧れもあったし、数学も苦手ではなかった。むしろ得意だった(高校のときはバッチリ"2"とってましたけど笑)

物理学科に進学した後も勉強する上で驚きは絶えなかった。例えばマクスウェルの理論は諸々の電磁気学上の(古典的)現象をたったの4本の式にまとめてしまった。クーロンの法則も、Biot-Savartの法則もすべてこの4本の式から導出されるというのは驚くべきことで、思わず「人類の叡智」だとか使い古されたことばを使ってしまいたくなるほどだ。
もう一つ例を挙げる。熱力学では諸々の関係式が熱力学という体系の中で緻密に関係付けられる。しかもこの論理体系はものすごく強力で非平衡物理を扱うときの拠りどころにもなっている上に、柔軟で、いろんな体系化ができる。これもやっぱりすごく楽しくて、自分を魅了した。


それでもやっぱり美しいとは思わなかったんだよね、あのころは。でもそれが最近だと少しわかってきた気がするっていう、そういうはなし。

きっかけは・・・なんだろう。よく科学は山登りにたとえられるけど、ちっちゃい峰を一つ越えた感じなのかな(偉そう笑)
最近勉強したことをもって初めて、ある事柄と事柄の関係が見えてきたっていうのがよくあって、そういう知識が増えたっていうのが直接の理由だと思う。
要するに、俺は他の人より感動の閾値が高い(美しさに関して鈍い)っていうことだったのだ。自分はマクスウェル方程式じゃ満足できず、ゲージ原理ではじめて感動する。良いか悪いかは別として、程度の問題でしかなかった。自分にもちゃんと美しさを感じられたのがすごく嬉しい。


人間関係でよくあるように、鈍いほうがいい事もあるに違いない。そんなふうに信じてもっともっと勉強してやろう。