すべての表現が完全可約であるわけではない。たとえば三角行列の群の各元にそれ自身を対応させる表現は完全可約でない
という記述があった。これの証明は読者に任されているので、これをやってみたい。
以下証明。
表現空間を、とする。このとき、の部分群は
三角行列の元に関して不変である。逆に、の縦ベクトルが
に関して不変であるとすると、
となるので、変換前後の2元の差
となり、結局の元となってしまう。
このことから、結局に関して不変なの部分空間は
となるが、はに関して不変なベクトル空間ではないので、
と直和に分解することができない。
したがって、の各元にそれ自身を対応させる表現は完全可約ではない
ことが証明された。