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"Think globally, act locally."というフレーズを耳にすることがある。直訳すると「グローバルに考え,ローカルに行動せよ」となる。グローバルとは何かといえば,これはどうやら地球のことらしい。

"Think globally, act locally" urges people to consider the health of the entire planet and to take action in their own communities and cities.

http://en.wikipedia.org/wiki/Think_globally,_act_locally

Wikipediaにもある通り,もともとは「地球全体の環境を考えつつ,コミュニティや自治体といったレベルで具体的な行動をとれ」という運動指針らしい。

英語でglobeという語は15世紀の中ごろに生じたらしい。globeの原義は球体であったが,1550年代にそれが転じて地球"planet earth"を意味するようになったのだという*1。それがさらに"-al"の接尾辞を獲得し,形容詞化したのは1670年代のことであり,「球体」という意味であったが,さらに1892年には語義の拡大が進み"worldwide, universal"をも意味するようになったのだそうだ。


"Think globally, act locally."はもともと地球(global)の環境を意識した活動に関するスローガンだったようだが,一般的な意味で再解釈することは可能かなと思う。大域的な(global)状況を変えるために,局所的な(local)活動に取り組むという行動指針としても取れる。時流を読み,具体的な行動に落とす。考え方として大変理にかなったものと言えるだろう。このフレーズの優れているところは,後半部をともなっているところだろう。つまり,理想論を語るだけではいけないのであって,実現可能な行動をともなって初めて前半部が意味を持つ。はじめから理想論を振りかざすのならば,それはフィクションと変わらない。例えばそれは研究でも同じであって,大きな目標やマイルストーンへ向けた日々の活動が伴う。大抵の場合,日々のlocalな活動は非常に泥臭く,目標が達成されたとて謳われることもない。人の目はどうしても華やかな部分へ行く。画期的な新薬が発売されたとして,大半の人間はその過程になんて目を向けない。しかし,本当の意味で行って,革新は現場で起こるということを忘れちゃいけない。
このことは実は電王戦の時も同じように思ったのでした。「コンピュータがプロ棋士に勝利」という結果のみが着目され,その陰にある本当の技術的な革新には目が行きづらい。将棋プログラムの飛躍的な棋力向上の背景には今日ではボナンザ・メソッドと呼ばれる機械学習の導入があったわけだし。そういう核心的な技術が伴って,初めて大局的な情勢という概念が意味を持つのでしょう。


さて,最後にまた囲碁の話になるのですが,囲碁の場合"Think globally, act locally."という言葉がそのまま盤上で通用しそうですね。ただし,囲碁の場合は「global→大場」,「local→急場」と翻訳しなくてはいけません。大場というのは19×19の大きな盤面に張られる模様のことです。急場というのは白と黒の石がぶつかった時の駆け引き・死活問題のことです。「大場より急場」という格言がありますが,最終的な目標(=勝利)を目指して数目の実利の争いに全力を尽くす,ということです。そう言い換えてみると囲碁でも"Think〜"のフレーズはやはり意味があるみたいですね。


雑にまとめさせてもらいますと,"Think globally, act locally."というフレーズは非常につよい普遍性を持っているようですね。

*1:http://www.etymonline.com/index.php?term=globe