或る一日の前半

朝起きてすぐに毛布を洗濯機に放り込んだ。乾燥機付きの洗濯機は本当に便利で、良い買い物だったと思う。雨だろうが、出かけ際だろうがボタンを一押ししたら終わりでだからだ。天気を気にしながら干す必要もないし、花粉も蜂も気にしなくていい。洗濯機を使うたびにああ、便利だなあと感じる。最高だ。今日はいつにもまして最高で、それというのも執筆中の論文を先週中になんとか手放していたからだ。解放感から、たまには東京でも散歩してやろうという気になった。
簡単に朝食を済ませ、午前中のうちに出かけた。昔通っていた高校のそばにある店へ、名物の和菓子を求めに出かけた。何度か買うチャンスがあったのだが、最後に口にしてからは久しい。お店に到着すると、目当ての菓子の製造は終わっていて、ある分がなくなったら売り切れという看板がでていた。5人ほど先客並んでいたが、自分も運よく5個ほど買うことができた。自分の後ろにも長い列ができていたが、全員が買えたかは怪しい。昼飯には、一口ごとに咽るような辛さの麻婆豆腐を食べた。それから店の前を通るとすでに菓子は売り切れていたようで、行列はすっかり消えていた。
買った菓子は、土曜日も大学で研究している恋人に差し入れた。先生と、他の学生の分も買っておいたのでそれも一緒に手渡した。誘いを受け少し研究室を見学させてもらい、散歩に出るためそこで別れた。あとから聞いた話ではその後「せっかく来てくれたのに一人で返すなんて」と先生に怒られたらしい。話の分かる先生だと思った。