5章 キュミュラント展開(3)

5.3 一般化された指数関数に対するキュミュラント展開

統計力学では一般化された指数関数を扱う場合が多い。たとえば、あとの方で登場する時間順序積を含んだT指数関数 U(\beta)=T\exp \left(-\int H'(u)\mathrm{d}u \right)などであるがここでは e_{L}という指数関数を考える。
この指数関数は、xまたはyの2次以上の項をすべて落とすことを意味している:
 e_{L}^{x}=L(e^x)=1+x
 e_{L}^{x+y}=L(e^{x+y})=L(1+(x+y)+(1/2!)(x+y)^{2}+\cdots
 =1+x+y+xy=(1+x)(1+y)
この指数関数に対するキュミュラントは次のように定義される。
 \ln \langle e_{L}^{\xi_{1}x_{1}+\cdots +\xi_{M}x_{M}}\rangle = \langle e^{\xi_{1}x_{1}+\cdots +\xi_{M}x_{M}}-1\rangle_{c}

5.4 キュミュラントとモーメントの一般的関係

何やら式がごちゃごちゃしてきて、いくらはてなのvirtueでTeXをブログ内で使えたとしても、そろそろ限界が見えてくるレベル。はてなのTeXって結局のところ、あくまで補助なのね。まとめ用のファイルでも作ってpdfにした方がよかったかもしれない。
多変数の場合に、キュミュラントをモーメントであらわす一般的な表式を求める。
 f(\b{m})=\frac{\xi_{1}^{m_{1}}\xi_{2}^{m_{2}}\cdots \xi_{M}^{m_{M}}}{m_{1}!m_{2}!\cdots m_{M}!}\mu(\b{m})
とfを定義すると、
 \ln \langle e^{\xi_{1}x_{1}+\cdots + \xi_{M}x_{M}}\rangle =\ln \left( \sum_{\b{m}}f(\b{m})\right)
 =\sum_{n}\frac{(-1)^{n-1}}{n}\sum \frac{n!}{k_{1}!k_{2}!\cdots}\left(f(\b{m_{1}})\right)^{k_{1}}\left(f(\b{m_{2}})\right)^{k_{2}}\cdots
ここで、2つ目の和は k_{1}+k_{2}+\cdots =nを満たすkの組み合わせについてとる。最後にfを元の表式に戻すと
 \sum \frac{(-1)^{n-1}(n-1)!}{k_{1}k_{2}\cdots }\xi_{1}^{\sum k_{i}m_{i1}}\xi_{2}^{\sum k_{i}m_{i2}}\cdots \Pi_{i}\left(\frac{\mu(\b{m_{i}})}{\Pi_{j=1}^{M}m_{ij}!} \right)^k_{i}
ここで右辺に登場する一つ目の和は、 k_{i}とnに関するものについての和であるが、これは \sum k_{i}=n}を忘れてkについて自由に和をとることに他ならない。以上から、キュムラントの定義にしたがえば、<br />
[tex: \frac{\langle x_{1}^{\nu_{1}}x_{2}^{\nu_{2}}\cdots x_{M}^{\nu_{M}}\rangle}{\nu_{1}!\nu_{2}!\cdots \nu_{M}}=-\sum (\sum k_{i}-1)!(-1)^{\sum k_{i}}\Pi_{i}\frac{1}{k_{1}!}\left(\frac{\mu(\b{m})}{\Pi m_{ij}!} \right)^{k_{i}}
を得る。ただし上式における和は \sum_{i}k_{i}m_{ij}=\nu_{j}の条件を満たすすべてのkの組み合わせについてについてとる。