サークルの同期と、久々会って飲んだ。話題は卒業研究で何をしてるかというお決まりのパターン。
「それって結構難しい質問だよね」
その場にいた理系の面々から、同意をいただきました。引かれるし、面倒だから普段はお茶を濁すところで、例えば「燃料電池関連(本当は触媒の研究)」とか、「味噌汁の対流とか(本当は熱流体が専門)」といった具合です。あ、ちなみにどちらも友人が苦しんだあげく編み出した返答なのですが。
しかし今日は違います。説明が難しいことを伝えたところ、聞いてみたいということだったので、少し踏み込んで、物理の理論を研究するモチベーションを簡単に説明しました。


「物理は、モデル化って言って、実際のモノを数式に落としてそれを使って遊ぶことや」
「せやせや、んで役に立てば、おもちゃで遊んで人様にも認められるっちゅー、素晴らしいもんや」
あ、実際の会話は標準語で行われました。ここでM女史がアシストです
イジングモデルとかねー」
まさか飲み会で、イジングモデルを文系の子に説明する羽目になるとは思ってもいませんでした。その瞬間、物理クラス開講のゴングがなりました。
「イジングっちゅうのは、偉いおっちゃんの名前や。イジングが作ったおもちゃ、てか、モデルだからイジングモデル言うて、磁石のモデルになってるんや」
「へえ、で、てっちゃんはそのイジングモデルもってんの?」
まあこんな感じで、ちぐはぐながらも会話が弾みまして、イジングモデルを解くとわかること、例えば温度を上げていくと磁性が失われるだとか、そんなことが導かれるのだと教えました。最終的に、理論のモチベーション、面白さを少しながら伝えることができたんじゃないかと思います。おしまいに「なんかかっこいいね」の言葉をもらったこと、それが嬉しかったような。


ちなみにその子は、イディオムの研究をしているそうで、話が新鮮に聞けました。互いに研究の話をするというのはなかなか楽しいものだと、考えたりしたのでした。


教訓として、諦めずに伝える努力をしよう、という言葉を残して、今日の日記はおしまい。