物性物理のための場の理論・グリーン関数

8章までを読んだが、8章の後半は難しいと感じた。この本だけ読んでいても不十分だろうということが文章を追いながらひしひし感じられ、思ったより時間がかかった。
電子ガスのホール伝導率の微視的な立場からの計算は結構大変で、異常ホール効果の方がずっと単純らしい。後者についてはカープラスとラッティンジャーが取り組んだスピン軌道相互作用と多バンド効果による内因性ホール効果の理論において1950年代に、物性におけるトポロジカル不変量の概念の一歩手前まで来ていたらしいこともよくわかった。面白い。

最近欲しい本

超伝導の基礎 第3版

超伝導の基礎 第3版

シュリーファー「超伝導の理論」

シュリーファー「超伝導の理論」

Many-Particle Physics (Physics of Solids and Liquids)

Many-Particle Physics (Physics of Solids and Liquids)

超伝導 (朝倉物理学大系)

超伝導 (朝倉物理学大系)

欲しい本、並べてみると案外楽しいな。

超伝導の理論論文に出てくる計算をどうしても理解したくて統計力学を勉強しなおしている。
松原グリーン関数に使われる+の上付き文字と†を区別するのは、手書きだと厄介だ。
電子ガスの静電応答、スピン応答の計算を復讐しているが改めて計算してみると奥が深い。

3月のオーディブルの購入コンテンツはこちら。

Making Evil: The Science Behind Humanity’s Dark Side

Making Evil: The Science Behind Humanity’s Dark Side

The Toaster Project 読了

The Toaster Project: Or A Heroic Attempt to Build a Simple Electric Appliance from Scratch (English Edition)

The Toaster Project: Or A Heroic Attempt to Build a Simple Electric Appliance from Scratch (English Edition)

  • 作者:Thomas Thwaites
  • 出版社/メーカー: Princeton Architectural Press
  • 発売日: 2012/03/20
  • メディア: Kindle
読みました。英語で通読できた。長めの学生レポートを読んだような読後感、というのが近いのかな…。
鉄を作るのはきっと難しいだろうと思っていたが、そこは比較的容易で驚きがあった(もちろん質は高いものではなかったが)。

これも購入した。

The Knowledge: How to Rebuild our World from Scratch (English Edition)

The Knowledge: How to Rebuild our World from Scratch (English Edition)

  • 作者:Lewis Dartnell
  • 出版社/メーカー: Vintage Digital
  • 発売日: 2014/04/03
  • メディア: Kindle

2月のAudible購入はこちら

Capital in the Twenty-First Century

Capital in the Twenty-First Century

  • メディア: Audible版

去年末にプリンタを買った。インク合わせ買いのキャンペーンがあって、ついこの間6000円分のプリペイドクレカが届いた。
僕らは二人ともオーストラリアでの火災に関心があったのでぜんぶ寄付した。心苦しいねえ。

Audibleはじめました他

最近良きにつけ悪きにつけ、オーディブルについての話題を目にするようになった気がする。かくいう僕も、12月にAmazonからAudible商品を買ってみたのだ。Audibleは一月あたり1500円の支払いが必要なサービスではあるが、毎月コインと呼ばれる購入権を与えられ、好きな商品をダウンロードできる。要するに毎月一冊、1500円で購入することになる。はじめてダウンロードしたのは「サピエンス全史(上巻)」で、1月のコインでは下巻を買った。
さて、それ出来になるのは耳で聴く本が果たしてどうかという点だろう。よく、日本でAudibleが流行らないのは日本語が聴くよりも目で見るのに適した言語であるからという説を聞く。自分も漠然とそう思っていたが、実際に聞き始めてみると案外集中して聴けることに気づいた。通常の読書の方が定着率はまだ良さそうだが、メリットがその不都合を上回るくらいのところにはある感じ。何が良いかというと、単純に目を使わないで本を読める点。自分は目が疲れやすいのでこれは非常に助かる。電気を消した寝室で聴ける、揺れる電車で本を凝視しないで済む、洗い物や掃除をしながら読書ができる。これはなかなか斬新で気に入っている。

サピエンス全史は、下巻から急激に面白くなった。最近読んだ面白い本は他には、吉田洋一「零の発見」がある。位取り記法がいかに革命的であり、算盤の改良によりその発明に迫りながら長い時間を必要とした不連続な改良であったかということは現代の我々には感じづらい。同じような題材を扱っている「小数と対数の発見」も読み進めているが、やはり非常に興味深い。10進小数の発見に至るまでに、主に貨幣や度量衡の分野において合理的でない多くの進数表記が登場し蔓延った。ヨーロッパ世界に10進小数が伝わったのは12世紀のことであったが(一つの伝達経路はかのフィボナッチだった)、ラヴォアジエの近代化学の夜明け時代に至ってももなお浸透してはいなかった。ラヴォアジエは10進小数表記がいかに化学研究を容易にするか書き残しているが、それがようやく実現されたのは皮肉にも彼が処刑され、メートル法が導入されてからだったらしい。山本氏の科学史に関する著書は多く読んでいるが、一次的、二次的にかかわらない圧倒的な調査量に圧倒される。自分の科学史観が山本氏のものに寄ってきているのを実感する。

小数と対数の発見

小数と対数の発見

高橋秀俊の物理学講義を職場で昼休みに毎週輪読している。輪読を続けていて気づいたことがある。
この本は文庫だが、難しい。難しさにもいろいろあるが、この本の場合要求される基礎知識の多さ、計算の行間のまあまあの広さ(式変形は頭の中ではできないくらい。たまに数学的にちょっとした道具を使う必要がある場合もある。)だろう。それから、「さらっと書いてあるが、実は深い物理が含まれている」という箇所もあり、本全体を通した素っ気無い文体がかえって難しさの一因になっていると思う。
しかし読めば発見のある本である。当然ながらこれが書かれた時点から今までの間に物理研究に進展があったので、今あらためて読んでいると面白い課題が見つかりそうな気がしてくる。