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予言するということ

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

色々な分野における予測と失敗の事例について山ほど集めてある本。広範な知識がちりばめられており、めまいがするほどの情報量だ。それらの試みのいくつかは十分正しい予測を与え(例えば天気予報)、それ以外は(当然ながら)誤った予測をする(大統領選の結果予想や経済予測。バブル中に自分がバブルの真っただ中にいると思った人は少ないし、表明しても皆それを信じない)。人間の判断にはバイアスがかかっており、ノイズとシグナルを取り違えてしまう。
残念ながら、どのように身を処せば誤りを減らせるか、ということについてはこの本のメインの興味ではないが、それでも第2章は予測を当てやすい思考のタイプについて多少書いてある。

テトロックは専門家をハリネズミとキツネの2つのグループに分類した。(中略)

  • ハリネズミというのは、いわゆる"A型タイプ"で、大きな考えを信じている人たちだ。あたかも自然界の法則であるかのように機能し、社会のすべての相互交流を実質的に支える基本原則があると信じている。カール・マルクス階級闘争フロイトと無意識、あるいはマルコム・グラッドウェルと「ティッピング・ポイント」がいい例だ。
  • 一方、キツネはこれといった原則を持たない生き物で、たくさんの小さな考えを信じており、問題に向けて様々なアプローチを試みる。彼らは微妙な差異や不確実性、複雑性、異なる意見に寛容である。ハリネズミが大物を狙う狩猟者なら、狐は採集者である。

ずいぶんと演出を利かせた分類をするものだ(ハリネズミとキツネのたとえはトルストイの作品から、とのこと)。キツネのスタンスは、予測することにかけてはハリネズミに勝る。キツネは、結局ベイズ統計的スタンスであるということに他ならない。



本の内容とあまり関係ないのだけど、モデルの正しさの判断はどうやってすればいいのだろう。またモデルといっても、モデルの仮定が実体的な基礎を持つもの(イジング模型とか、超流動の2流体モデルとか)もあれば、持たないもの(適切な例が難しいけど、例えばBonanzaの局面の評価関数)もあるように見える。でも別のものに見えるけど、考えていくと実は同じなのかもしれない。