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初欧州

仕事で、フランスに行ってきた。6日間の実働日で、共同解析を行ってきた。はじめの三日間は上司が同行し、残りの三日間は単身奮闘してきた。滞在先のラボは、フランス人、イタリア人、ポーランド人、ドイツ人等、国際色豊かなチームを作っており、非常にオープンだった。ホストであるボスはパッションがあり、辛抱強く質問に答えてくれたし、褒めてくれる部分はきちんと褒めてくれた。
ただ、言葉の壁は確かに感じられた。フランス語は大学の授業で何度も受講したものの、いまとなっては1ケタの数字と簡単なあいさつくらいしか記憶にない。あとはrの発音がちゃんとできるくらいであって、あとは初心者と同じだった。そのため、生活面で難しさが結構あったのだが。外国で英語が通じることで安堵感を感じたのは、初めてだったかもしれない。


今回の訪仏の背景には、我が国の技術が欧米諸国に比べて20年以上引けを取っていることがあった。共同解析という名目での訪問ではあったものの、じっさいには研究の遂行に関するテクニックを伝授してもらうという、一方通行の技術指導を期待していた。その意味で言えば、今回の訪問は完全にうまくいった。


実はここには、自分の分野(明示するとすぐグーグルに引っかかるので秘密)の特殊性があると思っている。通常の科学分野と異なり、プリオリティを主張しない2番手3番手のデータも、重要性を持ちうるという意味において。そのために、先行する国・組織は技術的な協力を惜しまないという部分がある。
この意味で、私が従事しているのは、通常想像される「研究」という行為のイメージからは遠いものだろうと感じる。このことによって、科学的興味を離れ、政治が働く余地が大きくなると思う。協力の姿勢を見せることが、時に政略的な意味を持ってくるからだ。

やはりというか、自分にとってはこれは面白くない。政治的な判断で、研究の内容が左右されて、面白いわけがない。とはいえ、純粋に興味で駆動される研究が今の時勢の中でどれだけあるのかは、疑問である。とりわけ、カネがかかる分野は。


ともあれ、自分はまだ修業中の身にすぎず、周りの環境はどうであっても学べるものは全て学んでいきたい。個人としてのモチベーションは、ほとんどその点にあると言ってもそれほど間違いでない。その意味で言えば、日本での事情が許せば1年くらいフランスで研究してみたいと思う。