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共存系の熱力学的自由度

共存系の熱力学的な自由度についてGibbsの相律というのが成り立つ。c種類の成分からなる物質がr個の相に分かれて平衡にあって共存する場合、この平衡状態の自由度fはf=c-r+2であるというのがGibbsの相律である。
証明は以下の通りである。c種類からなる一つの相の内部的状態が成分比で決まることから、これに関する内部変数の数がr(c-1)である。これに温度T、圧力pを加えてr(c-1)+2が内部自由度である。ここに共存状態に係る拘束条件がかかる。各成分の化学ポテンシャルが各相について等しいということから、c(r-1)である。したがってf=r(c-1)+2-c(r-1)=c-r+2が成り立つ。
ではこういう状況はどうだろうか。ある体積Vの容器にN個の1種類粒子(例えば水)を詰め込み温度をTに保つ。この時Gibbsの相律から気液共存を保ったまま動かせる自由度はf=1-2+2=1である。しかし、VとNを固定してTを上げても蒸気圧が上がりやがては平衡状態に達するだろうし、Tを固定してVとNをそれぞれα倍するような操作に対しても当然共存状態が保たれる。一見自由度は2以上あるように思えるがどういうことか。この答えはGibbsの相律の導出を見ればわかる。各相間の平衡状態の記述には化学ポテンシャルについての等式を使った。化学ポテンシャルの自然な変数はT,pである。だからVやNなどの示量変数についてGibbsの相律は何も言わない。Gibbsの相律が言っているのは平衡状態が実現されるために示強変数が満たすべき拘束条件の数なのだ。


じゃあ先に言った体積Vの密閉容器に複数成分を詰め込んで、気液共存に保った場合の自由度はどのように記述されるのだろうか。

TBC