内部自由度の温度とかいうやつ

今読んでいる工学系の本、納得いかないカ所ある。ガスの音響的な性質を論じた教科書である。音波は粗密波であり、その過程は通常断熱的だと考えられる。しかし実際には分子には並進自由度に加えて回転や振動といった内部自由度とのcouplingがあり、散逸が生じてしまう。これがbulk viscosityとか呼ばれるものなわけだ。こうした現象を扱うために、この教科書ではad hocなモデルが立てられている。すなわち、それぞれの自由度に対して別個に温度Tを置いているのである。例えば「系の並進自由度の温度T_tr」と「系の内部自由度の温度T_int」というように。散逸過程はこれらの系が互いにエネルギーを交換するものとしてとらえられている。
しかしこんなモデルが正しいとはとても思えない。もちろん「正しい」という言葉は曖昧なものではあるのだが。