高校数学でないがしろにされがちな「論理」

高校生に数学を教えているが,彼らはほとんど必要条件と十分条件の区別がついていないのではないかと感じる.たとえば,「○○を満たすようなxをすべて求めよ」という問題があったとする.もう少しちゃんとした形で書くならば命題関数P(x)が真となるようなxの集合を求めよとなるわけだが,P(x)を適当に変形して出てきたxを解とするのは,誤りにつながる.
本来であればP(x)を変形する際,同値性に常に気を払うか,やむを得ず必要条件を導くならば最終的に十分性のチェックをおこなわなくてはならないはずなのであるが,ほとんどそれを意識しているようには見えない.テスト対策よりもこちらのほうが急を要する内容だと感じているのだが,テスト対策という時間的な制約があるために思うように教えることができないでいる.


たしかに高校数学を思い返してみれば,論理の厳密性を問われる問題にはほとんどお目にかかることがない.青チャートを見て解答作成の分解された要素だけを身につけている生徒にとって,論理のトレーニングというのはすっかり抜け落ちてしまう盲点なのかもしれない.