対流について

空気は温めると対流するという経験事実がある。たき火を焚けば煙は上へ昇る。これにはよく「暖かい空気は軽いから上に行く」みたいな説明がついてる。確かに一定圧力中の気体は温度とともに密度が減少する。
比重が小さいものがより比重の大きいものの中で上向きに力を受けるというのはその通りだ。例えば水に木片が浮くのは浮力によるものである。でもこれは木片を構成する原子が、互いに結合によってつなぎとめられており、木片全体に働く合力を考えることができるからだ。では気体の場合はどうか?
理想気体では、気体分子間に衝突などの相互作用が働かない。この場合対流という現象は起こらないことは、下に書いた考察からわかる。熱源と相互作用した分子がエネルギーを得、系は一様に加熱されるだけだろう。
気体分子が剛体球であるモデルを考えると、浮力による説明はうまくいく。つまり、分子同士が衝突し運動量を交換する場合だ。十分多数の空気分子からなる系 \{i\}_{i=1}^{N}を考えてこの集団が一定時間に受ける力積を考えればよい。この系に含まれる分子同士が及ぼす力積はキャンセルされるので結局周囲の空気分子との衝突のみを考えればよいからだ。こうすればこの系 \{i\}は周囲の気体から力積を受け取り、その振る舞いは木片と同様、浮力で扱えることになる。
今考えたのは剛体球のモデルだったが、まあ実際の気体でもだいたいこんな感じだろう。ところで対流が相互作用の関数形にどう依存するのか、もしも長距離力だったらどうなるのかというのは知られてるんだろうか。