twitterで物理の博士過程にいる方と話をしてたときに、ちょっとした疑問をぶつけてみました。完全に解決とはいきませんでしたが自分なりに整理ができたのでまとめておくことにする。
アハラノフ-ボーム効果というのが議論のテーマ。量子力学の根幹にかかわる話で、「電子が電場も磁場がない領域を通過するときでも、その電子は磁場の影響を受ける」という実験事実に関する疑問だった。この実験は日立の外村彰さんによって初めて実験的に決着がついたと考えられている。非常に美しい実験として各所で取り上げられたりもしてきたし、これからもすると思う。
“The Most Beautiful Experiment”昨年、イギリスのPhysics World誌が科学史上最も美しい実験を読者に募集したところ、見事一位に輝いたのが外村氏の行った電子の二重スリットの実験だ。「二位以下を見るとガリレオやニュートンといった面々が並んでいるんですよ」と外村氏は思わず顔をほころばせる。
http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/2003/009a.html
疑問は「ベクトルポテンシャルの実在性というのは電子とベクトルポテンシャルの相互作用と考えていいのだろうか」というもの。結論はNo。考えたかを記録しとくがわかってる人が見れば何の話かはわかる程度の適当な記述なので、あまり真面目に読んでも仕方ないと思う(=゚ω゚)ノ
磁場B=∇×Aの存在する空間における電子のシュレディンガー方程式とその解が与えられているとする。
ここで次のようなゲージ変換を行う,
いま、χが時間に依存しないとすると、変換されたシュレディンガー方程式は
となる。ここで新しい解ψ'はと書ける。ここでθは位置xに依存する関数で
である。明らかに新たな波動関数の余剰な位相部分はゲージのとりかた(χのとりかた)に依存する。したがってθ(x)は物理的に意味のない量だといえる。
よく論じられる、2スリットの干渉実験では異なる2つの経路A,Bが閉経路を作るということが重要なのだ。つまり、これらの経路を通った粒子が獲得する位相の差は
つまりこれはゲージによらず、全位相差はA,Bが囲む領域を貫く全磁束密度に比例した量として計算され、これが干渉縞を与える。位相差という概念は経路が閉じるような場合を考えて初めて意味を持つ概念らしい、ということだ。