1冊目『カオスとフラクタル』

カオスとフラクタル (ちくま学芸文庫)

カオスとフラクタル (ちくま学芸文庫)


本書はカオスの発見の歴史からその工学的意義、カオス的離散力学系の逆過程の解集合としてのフラクタルまで幅広く扱った入門書である。この手の本はやはり、わかっている人がよんで面白い本であると感じた。数学理論は一見繋がりのない現象間の数学的な類似構造を見いだすのが感動的だったりするのだが、そのためには厳密な議論は必須であって、文章が中心でしかも分量の限定された啓蒙書を読んでも、理解には限界がある。
ところで、離散力学系が物理学において果たす役割は、数値解法による微分方程式の求解くらいなのだろうか。