ベリー位相1

誘電体の物理を扱う上でベリー位相が必要になりましたが、このベリー位相を説明しようとすると結構大変な事に気づきました。なので、誘電分極の話は一時休憩して、しばらくベリー位相の話でも書いていきたいと思います。

基本的には今回からの話は、
http://phy.ntnu.edu.tw/~changmc/Paper/wp.pdf
こいつに沿って進めていく事にします。


ベリー位相は一般に量子系においてあるパラメータを断熱的に変化させたときに、波動関数が得る位相のことを指します。断熱的というのは、パラメータの動かし方のみに依存する(断熱的という条件が満たされていればそのスピードを問わない)、ということです。パラメータ空間に描かれる軌跡の形状にのみ依存するということで、幾何学的位相とも呼ばれます。
かつては量子力学において波動関数の位相成分は軽視されていた節がありますが、ベリー位相は今日ではその重要性が認識されていて、量子ホール効果や誘電体、電荷輸送などの物理における視点を与えたりします。