光合成とは何か

光合成とはなにか―生命システムを支える力 (ブルーバックス)

光合成とはなにか―生命システムを支える力 (ブルーバックス)


エネルギー問題に興味を持っていた頃、だいたい1年半前に買った本。途中、読み進めるのがあまりに面倒くさい箇所があって読みさしのままほったらかしていたけれど、最近またざっくりとした理解で読み進んでみた。結論からいえば、すごく面白い本だ。しかも筆者の光合成に対する畏敬の念みたいなものが本全体からにじみ出てる。何よりもまずはそこに感銘を受けてしまった。
内容について説明すれば、光合成について分子生物学的立場から網羅的に解説した本ということになる。だけども一般向けに、葉緑体の共生説についてもちゃんと触れてある。それからコラムがこれでもかというほど充実していて、光合成に関することの知識幅を飛躍的に広められる本になっている。例えば、二酸化炭素の固定に必須の「ルビスコ」という酵素があるのだが、このルビスコはもともと全く別の役割を生体内で持っていた可能性があるという内容を「ルビスコの先祖」という題のコラムで書いてあったりする。マニアックなのもいい加減にするべきだろう。俺は大好きだが。
ただ、踏み込んだ内容になっているか所は少し難しすぎる。例えば光阻害に対する植物の防衛策に、キサントフィルサイクルというのがあるらしいがこのあたりは何度読んでも全く理解できない。カラマーゾフの兄弟みたいに、なかなか登場人物(色素だけど)が覚えられないのだ。相関図が必要だろう。似たようなものはもうあるだろうけど。


細かいところを書けばきりがない。小難しいところを飛ばしても最後まで読めるし、面白いからお勧めできる本である。