物理の散歩道 第四

第四 物理の散歩道 新装版

第四 物理の散歩道 新装版


ロゲルギストというのは造語であり、1966年ごろからある雑誌に連載を載せていた日本の物理学者集団の名前である。そしてこの本は、彼らによる物理エッセイである。彼らは日常に見られるなじみぶかい現象を、物理的な観点から解明していったのである。
この本の目次は出版社のHPでも見てもらうとして、自分が特に面白いと思った項目を挙げてみる。

青空にあいている孔

これは、地上における青空からのスペクトルを調べると赤外領域に極端に強度の弱い波長領域があり、その波長のみを選択的に通すフィルターを作ることによって、放射冷却を利用した冷房が可能になるという話である。非常に面白い着眼点であると同時に、小さい箱庭的モデルではすでに可能であることが確認されていると知って驚いてしまった。晴れている日しか使えない冷房ではあるが、エネルギー問題の解決へ大きな貢献をするのではないかな。

戦後強くなったもの-磁石

磁石の話である。フェライト磁石を鉄板から引き剥がす感覚のが従来のKS鋼を利用したものと違うという、ごく身近な疑問から始まる。これは実は、保持力と飽和磁化の大きさが関係しているという話である。
色々と歴史の隔たりを感じた。


面白い本だよ。何巻も出ているから、もっと読んでみよう。