- 作者: 尾崎秀実
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/02/14
- メディア: 文庫
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尾崎秀美(おざき・ほつみ)は戦時状況下においてスパイ活動を行った共産主義者である。朝日新聞記者であり近衛内閣嘱託という立場を利用し手に入れた情報をソ連のリヒアルト・ゾルゲに繰り返しもらしていたとの事実があり、絞首刑に処せられた。詳しいことは、この著書を読んだだけではわからないが本書は尾崎の転向の書であると言われているらしい。要するに「今までの俺の思想は間違ってたみたいです。俺みたいな一個人が国家主義とか民族主義を否定するのは傲慢だとわかった。だから命を助けてください」という、裁判長へ宛てた文書なのだ。
自らの理念に基づいて活動を行った結果、死刑に処せられるというのは一体どういう気持だろう。特高による検挙を受けるまで死の予感を感じながら活動を続けていたというが、そこまでの信念がどうして持てるのかな。思想というのは正直なところ、俺にはまだよくわからん。
残された家族のことを心配していたのはすごく印象に残る。気の毒だ。