さて、風船の問題について、また考えていこう。前回カンタンにゴム弾性について説明しました。スローガン的に述べてしまえば「ゴム弾性はエントロピー弾性」ということに尽きてしまう。まあ、実際にはエントロピー弾性とエネルギー弾性の両方が混在しているらしいけど。
ゴム弾性についてもう少し議論を進めてみたいと思う。目標は「厚さの均一なゴムフーセンを膨らませたとき、偏りが生じないのはなぜか」ということであった。以前の日記では「面積に比例する内部エネルギーをもつ」という仮定を置いたが、これを仮定するだけでは風船の膜が振動するような解が許されてしまう。しかし実際は、何らかの散逸の機構が存在し、そのような振動は起こらない(散逸が十分早い)。この散逸は、周囲の空気へ散逸するのかもしれないが、それ以外に何らかのメカニクスが存在するんじゃないかと、そんな風に思ってもう少しだけ書いてみる。書いていて自分でも胡散臭いと思う箇所がたくさんあったので、読む側の人間は鵜呑みにしないようにしてほしい。


上に書いた仮定「面積に比例する内部エネルギーが面積に比例する」のみをおくことの妥当性についてもう少し考えていく。これはつまり「フーセンがゴムでできている」ということを忘れたことに等しい。便宜上このような内部エネルギーをもつ膜のことをフック膜と呼ぶことにしよう。あ、これ完全な造語ね。たぶんちゃんとした用語があるんじゃないかなあ…。球面状に張られたフック膜に対し、空気抵抗やその他の摩擦などをすべて無視した理想的な条件のもと、ある初期条件を与えたとすると、任意の時刻tにおける各点の応力と、したがって変位が求まる。まあこれはいい。と思う。この解の中には、ごく直感的には初期条件によって大きく振動するような解が含まれると思う。*1

ではフーセン膜のエントロピーを考えると、上記の議論は少し変わってくる。具体的には、エントロピーの凸性が効いてくるのではないかと思う。フーセンを構成する分子の数はモノマーの分子量100、重合度10万のポリマーを仮定したとしても、 10^{16}から 10^{17}であると考えられ、十分に大きいので熱力学的な議論が成立する。と思う*2。示したいことは、エントロピーの相加性を用いて、フーセンがある面積Sまで広がっている状態で、フーセンの表面を微小な面積 \Delta S_{i}(i=1,2,…,N)に分割した際、 S\simeq \sum \Delta S_{i}と書けるが、このようなエントロピーに対して最大値を与えるゴムの伸びが、一様である条件を与えるならば、マクロな状態として実現されるのは一様で静的な解となります。ここでエントロピーの凸性が効いてくるんじゃないか、というのが直感です。


眠い。上に書いたのトンデモになってないかなあ。書きながら考えているので、頭から全部間違いかもしれないなあ。


http://d.hatena.ne.jp/ttrr/20090807/1249574033
http://d.hatena.ne.jp/ttrr/20090810/1249835455
http://d.hatena.ne.jp/ttrr/20091103/1257236073
http://d.hatena.ne.jp/ttrr/20091103/1257245320
http://d.hatena.ne.jp/ttrr/20091105/1257348792
フーセンネタでどんだけ引っ張ってんだよ…

*1:ちゃんと計算すればできるんでしょうが、何も見ないでやるのは今の俺には無理

*2:えっと、ここはまた考えたい