ボツリヌスへの旅

地上最強の毒素でありながら、整形等に用いられる有益な毒素であるボツリヌス毒素についてまとめてみよう。ついでに生化学関連の知識も身につけられればなおハッピー。おもにwikipediaのコピペだけど、まとめてみたらある程度頭に残るかもしれない。まあ、自由な感じで行ってみよーV

ボツリヌスの人体に対する毒性について

ボツリヌストキシン (Botulinum toxin) は分子量が15万ほどの蛋白質で、ボツリヌス菌が産生する毒素である。ボツリヌス毒素とも呼ばれる。ボツリヌス菌食中毒の原因となり、極めて毒性が強い。しかし、加熱するかアルカリで処理すると失活して毒性がなくなるため、十分加熱すれば安全である。(ただし、ボツリヌス菌の芽胞は耐熱性を持つ)ボツリヌストキシンは毒素の抗原性の違いによりA〜G型に分類されるが、サルへの経口投与によるデータではB型毒素への感受性が最も高い。*1

ボツリヌストキシンは神経筋接合部などでアセチルコリンの放出を妨げる働きをするが、作用は末梢性に限られ、筋弛緩・鎮痛作用などが確認されている。中毒症状としては、消化器症状(下痢・悪心・嘔吐など、ただし毒素の作用ではない)に続き、めまい・頭痛や視力低下・複視などを起こし、その後自律神経障害、四肢麻痺に至る。

「ただし毒素の作用ではない」という記述が何を意味するのか分からない。神経伝達の阻害による中毒症状ということだろうか。説明文中のアセチルコリンってなんだろう?たまに耳にするし、調べてみよう。

アセチルコリン

アセチルコリン(Acetylcholine,ACh)は神経伝達物質であり、副交感神経や運動神経の末端から放出され、神経刺激をある種のシナプスを通して伝える役目を果たしている。骨格筋や心筋、内臓筋の筋繊維のアセチルコリンの受容体に結合すると収縮を促進する。自律神経の内、副交感神経を刺激し、脈拍を遅くし、唾液の産生を促す活性がある。

んー、なんだかようわからんなあ。「筋繊維のアセチルコリン受容体に結合すると収縮を促進する」というのはどういうことだろうか、そんなざっくりと…。まあしかし、ボツリヌス中毒によってアセチルコリンの放出が妨げられた結果、筋弛緩が起こるというのは筋が通っているなあ。

副交感神経

副交感神経は遠心性の自律神経であり、臓器近傍あるいは臓器内に存在する神経節を隔てて大きく節前線維と節後線維に分けられる。節前線維・節後線維ともに末端部から神経伝達物質としてアセチルコリンを放出することからコリン作用性神経と呼ばれる。

遠心性というのは、神経伝達の方向性を指す言葉で、中枢(脳)→末梢を遠心性、末梢→中枢を求心性というらしい。遠心性、求心性にはそれぞれ2つずつ種類がある。遠心性神経の方は、骨格筋を動かす遠心性神経を体性神経遠心路(別名:運動神経)、平滑筋を動かす遠心性神経を自律神経遠心路というらしい。求心性神経の方は、温度覚や振動覚などの体で感じた感覚(体性感覚)を脳に伝える体性神経求心路と、胃の痛みなどの内臓感覚を脳に伝える自律神経求心路がある。
いろいろ書いたけど、ようするに、中枢の内臓器官への命令伝達の通り道の一つが副交感神経。

ボツリヌス毒素の化学的作用

ボツリヌストキシンは、分子量約15万のタンパク質であり、細胞外に分泌された後に、菌自身のプロテアーゼまたは動物消化管のトリプシンによって、分子量約5万の活性サブユニット(Aサブユニット、軽鎖)と、約10万の結合サブユニット(Bサブユニット、重鎖)とに切断される[3]。この両者がジスルフィド結合によって一分子ずつ結合した、AB型毒素に分類される細菌外毒素である。活性サブユニットが、毒素の本体である亜鉛結合性の金属プロテアーゼであり、結合サブユニットは標的となる神経細胞表面に特異的に存在する特定のタンパク質(毒素受容体となる)との結合に関与する。

AB型毒素というのはどうやらAとBというサブユニットからなり、Aサブユニットが毒性を示し、Bサブユニットが抗原受容体と結合するタイプの毒素のことを指すようだ。確かなことはWEBでは調べきれなかった。こんど後輩に聞いてみよう。

体内に取り込まれた毒素が神経筋接合部に到達すると、神経細胞側の細胞膜(シナプス前膜)に存在する毒素受容体タンパク質と、毒素の結合サブユニットが結合する。結合した毒素はエンドサイトーシスによって、分泌小胞様の小胞の内部に取り込まれ、神経細胞内でこの小胞の内部が酸性化すると、サブユニットが切断されて、細胞質内に活性サブユニットが遊離する。

簡単にいえば、結合サブユニットが受容体と結合し、神経細胞内でサブユニットが分離&活性サブユニットが細胞質内に放たれる。エンドサイトーシスってなに?*2ってことで、エンドサイトーシスに関する記事のコピペが下。

エンドサイトーシス (Endocytosis) とは細胞が細胞外の物質を取り込む過程の1つ。細胞に必要な物質のあるものは極性を持ちかつ大きな分子であるため、疎水性の物質から成る細胞膜を通り抜ける事ができない、このためエンドサイトーシスにより細胞内に輸送される。

細胞膜は疎水基を内側に向けた2重の脂質の膜でできている。この膜の外側から、細胞の内外を混合してしまうことなく物質を取り入れるための機構がエンドサイトーシスということらしい*3。どうしてこの小胞の内部が酸性化するのかはちょいと調べきれなかった。まあ、それはいいとしてボツリヌス毒素の化学作用に帰ろう

神経細胞の内部には、アセチルコリンなどの神経伝達物質を内包する、脂質二重膜で覆われたシナプス小胞が存在する。神経細胞が興奮すると、このシナプス小胞がシナプス側の細胞膜の方に移動し、細胞膜と膜融合を起こすことで、小胞内部の神経伝達物質シナプス間隙に放出される。この膜融合には、シナプス小胞の表面のシナプトブレビン(VAMP/Synaptobrevin)、細胞膜側にある、シンタキシン (Syntaxin) および SNAP-25という、SNAREタンパク質とよばれる3つのタンパク質が関与しており、この3つが会合することによって膜融合と、神経伝達物質の放出が行わわれている。

SNAREが何を指しているのか不明。発見者たちのイニシャルを並べたとかか?

細胞質に遊離したボツリヌストキシンの活性サブユニットは、この3つのSNAREタンパク質を標的として特異的に切断し、破壊してしまう。SNAREタンパク質のいずれかが破壊されると、シナプス小胞と細胞膜の膜融合が起こらなくなり、神経伝達物質の放出が阻害される結果、神経伝達が遮断される。これがボツリヌストキシンの作用メカニズムである。ボツリヌストキシンが標的とするタンパク質は、毒素の種類によって異なっており、B,D,F,G型毒素はシナプトブレビンを、A,E型毒素はSNAP-25を、C型毒素はSNAP-25とシンタキシンを、それぞれ切断する[4]。

神経伝達物質の放出機構に必要な3種類のたんぱく質をボツリヌス毒素の活性サブユニットは切断破壊してしまう。*4ボツリヌスの作用は破傷風菌による毒素のそれと似ているらしいが、ボツリヌスの方は作用が抹消に限られる。その理由は、受容性タンパク質の違いにより、取り込まれる小胞の種類が異なるためだと考えられているかららしい。ボツリヌス毒素の取り込まれる小胞内においては速やかに酸性化が起こり、活性サブユニットの遊離が起こる。それに対してテタノスパミン(破傷風毒素)に対してはそれが起こらず、軸索に沿って逆行性に輸送され、脊髄や海馬に作用するらしい。ボツリヌス毒素が血液脳関門*5

ボツリヌス菌

疲れたのでまた今度。近いうちに勉強しよう。ボツリヌス毒素

*1:抗原性について。抗原とは、免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を起こさせる物質。抗原は抗体に結合する機能によって定義される。抗体に結合することができる抗原の性質を抗原性と呼ぶ。[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%97%E5%8E%9F:title]

*2:遠藤、斉藤死す。これはダジャレを回避するので精いっぱいって回避できてねえ!

*3:福岡伸一氏の生物と無生物の間でも取り扱っていたなあ

*4:この過程がいったいどれくらいの時間スケールなのだろうか。濃度拡散に従うのであればスローだとは思うが、そうではないのだろうな。

*5:脳内の血管にはどんな物質でも進めるというわけではないらしい。が、アルコールはこの関門をいとも簡単に通過するってさ