また研究室の話

研究室を選ぶにあたって物理の諸分野の魅力について考える機会が多くなりました。そこで感じたのは計算物理学の位置づけがわからないということです。
そもそも自分は理論と計算のどちらにも興味がありました。諸々の物理現象に潜む数理的な構造を捉えて定式化する理論物理学の華はやはりそのエレガントさだと感じます。美しいものに触れることができるのはやはり魅力でしょうね。
一方、実験系の分野の魅力はやはり直に自然に触れ合うことができるということに尽きます。例えばボーズ・アインシュタイン凝縮という現象があります。理論自体は学部生でも学ぶことができるものなのですが、それを実際に観察するのは大きな困難が付き纏うようでした(ルビジウム原子を用いてのBECに成功したグループはすぐにノーベル賞を受賞したほど)。深遠で非自明な現象に向き合うって言うのは、とても神妙な気分になるに違いないと思います。


理論的な予測を裏付ける実験、さらに実験ではこれまでに予測できなかった現象に出会うこともあります。理新しい理論のきっかけはいつも実験からだということを忘れてはいけないと思います。もちろん、実験の動機として理論はありきなのですけど。実験と理論は、言うまでも無く物理学の両輪ですね。


一方、計算物理学はどうでしょうか。名前を聞いただけではその内容がいまいちわかりづらいですがwikipediaにはこうあります:

計算物理学は定量的理論の存在する物理(現象)の困難を解決するための、数値計算の研究である。時として理論物理学の一分野としてみなされることがあるが、理論と実験物理学の中間分野と考えるものもいる。

んー、自分の中で気になるのは最後の記述でしょうか。理論と実験の中間って、んーー・・・?数値計算をすることによって新しく"もの"を生み出すことができるだろうか?
自分はこの分野に惹かれてはいるんですが、中途半端になってしまうことが怖いです。それから計算のプロフェッショナルがどれくらいのニーズがあるのか、理論家としてどれくらい認められるのか、それもちょっと気になります。計算機のパワーに頼り切って、物理学のこころを忘れてしまうことが無いか、そんなことも、最近は気になっています。


まあ、方法の専門家ということで応用は広そうですけどね。